1976年4月~1996年3月の20年間に茨城県県西および県南食肉衛生検査所管内のと畜場で検査された14, 167, 540頭の豚のうち, リンパ腫と診断された86例について検索した. 86例のリンパ腫は, と殺頭数10万頭当たり0.6例と他の報告と比較すると低い検出頻度であった. 豚のリンパ腫は病勢の進行した段階で発見され, 全身に腫瘍病変を持つ場合が多い. そのため, これまでの解剖学的分類では, 病勢の進んだ胸腺型や消化器型が多中心型に入れられる傾向にあった. 全身に腫瘍病変を持つ胸腺型や消化器型を明確に分ける目的で, これまでの検査結果に基づき新たに全身型, 腹部型, 縦隔型, 体表型の4タイプに分類したところ, 86例のうち全身型が43例, 腹部型が32例, 縦隔型が9例, 体表型が2例であった.
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