4頭のヤギの第四胃幽門部中央において, 横切離・端々吻合を行ない筋電図を記録したところ, 次の結果を得た.
1.吻合上部では, 逆蠕動放電が現われ, 放電間隔が延長した.
2.吻合下部では, 3頭に逆蠕動放電が現われ, 吻合上部と同様放電間隔が延長した.他の1頭では, 逆蠕動放電は現われなかったが, 放電間隔の延長が認められた.
3.吻合後, 1頭は17日目で吻合上部と下部が完全に同調した.他の3頭は35日目までに一部の同調をみたが, 完全には同調しなかった.
4.逆蠕動放電の発生は, 胃横切離・端々吻合による幽門機能の異常亢進に起因すると思われる.
以上の結果から, ヤギ第四胃幽門部は, 刺激に対して著しく感受性が強いので, 第四胃切開術に際しては十分注意すべきであるとともに, このことは
第四胃食滞
の誘因として考慮に入れるべきと考える.
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