【はじめに】埼玉県理学療法士会では平成16年11月12日~15日に埼玉県下で行われた第4回全国障害者スポーツ(以下、全スポ)において水泳・アーチェリー・陸上競技・車椅子バスケットボールの4会場にコンディショニングルーム(以下、CR)を設置し、選手に対して競技前後のコンディショニングを行った。今回、CRを利用した選手、関わったスタッフにアンケートを実施し、活動内容と今後の課題について検討したので報告する。
【活動概要】開設期間:平成16年11月12日~15日の4日間。開設場所:水泳・アーチェリー・陸上競技・車椅子バスケットボールの各会場に設置。開設時間:競技開始30分前~競技終了30分後。動員スタッフ:埼玉県理学療法士会員84名。
【活動内容】活動期間は大会期間と同様で、各競技会場の一部にCRを設置。室内には治療用ベッド・物理療法機器・テーピングなどを用意し、応急処置やコンディショニングに対応できるようにした。人員配置は各会場1日9~22人の理学療法士が2人1組となり対応した。
【実施状況・結果】各会場の利用者延べ数は陸上が227名、水泳が336名、車椅子バスケットボールが65名、アーチェリーが9名であり、全会場とも大会2日目の利用者数が一番多かった。競技前後で見ると利用者はほぼ同数で、競技前後とも痛みや疲労感の訴えが多かった。施行内容ではマッサージ、ストレッチが多く、次いでテーピング、物理療法、Icing、PNFの順であった。また、利用者からのアンケート結果では「痛みが楽になった」、「競技・試合への不安が和らいだ」という意見が多く、利用者の満足度も高かった。次回の全スポや他の大会でも利用したいという意見が多かった。
【今後の課題】埼玉県理学療法士会では全スポの1年前よりスポーツリハビリテーション推進委員会を立ち上げ、委員会が中心となり、月に1度研修会を行い大会に備えてきた。障害者スポーツに関わった経験がないPTが多く、スタッフからのアンケート結果ではCRに対する満足度は高かったが、個人の活動に対する満足度はそれほど高くはなかった。理由としては知識不足・経験不足により十分な対応が出来なかったことなどが挙がった。また、今大会では競技により利用者数の偏りがみられた。利用者数の多かった競技はこれまでの大会でCRを設置していた競技で、選手や関係者間の認知度は高かったが、利用者数の少なかった競技は前回大会でCRを設置しておらず、選手や関係者間の認知度が低かったことなどが考えられる。スタッフからも今後も理学療法士会としてこういった活動を継続していくことが必要だという意見が聞かれ、こうした機会があれば参加したいと多くのPTが考えている。今回、埼玉県理学療法士会として組織的に全スポに関わったことで、PTとしての職域の拡大と利用者への認知度の向上が図れたと考えられる。
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