1,3,3-trimethylspiro[indoline-2,3-[3H]naphtho[2,1-b][1,4]oxazine](TM-SNO1)とその9'-ヒドロキシ置換体(TM-H-SNOm),さらには1aとhexafluoropropenetrimer(HFP-T2)の反応物(TM-HFP-T-SNOlb)および1aと4-[perfluoro(2-isopropy1-1,3-dimethy1-1-buteny1)oxy]benzoylchlaride(HFP-T-OB3)の反応物(TM-HFP-T-OB-SNOlc)の紫外線による着色機構(ホトクロミズム)を1H-NMRによって調べた。
その結果,いずれの化合物も着色によって3'一位の二つのメチル基プロトン(9-H,10-H)スペクトルが低磁場にシフトし1本となり,N-メチル基プロトソ(8-H)のそれも低磁場にシフトした。この変化は6一nitro-1',3',3’-trimethylspiro[2H-1-benzopyran-2,2´-indoline](6-nitroBIPS(4)と同様であり,開環着色し,両性イオン構造となるものと推定した。さらに,2'-Hプロトンのスペクトルが大きく低磁場にシフトし,上記構造変化に基づく電子求引効果のほかにキノノイド型携造の異方性効果を示唆すると考えられ,ナフトオキサジン誘導体の開環着色の特異性についてソルパトクロミズムの観点から検討した。ついで, 上記化合物の結晶融解と着色について,顕微鏡観察,DSC曲線およびX線回折曲線によって検討し,それぞれ異なった凝集性と結晶形状を持ち融解によって着色することを明らかにした。
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