北海道立北見農業試験場の連・輪作試験圃場でインゲンおよびダイズの連作障害に関係するとされる
P. myriotylumと未同定の
Pythium sp. (
Pythiumsp. A)とについてそれらの宿主範囲および分布を検討した。
P. myriotylumは,輪作区に栽培されるエンバク,テンサイ,ジャガイモ,コムギ,アカクローバのうちテンサイのみに強い病原性を示し,マメ科作物ではエンドウ,アズキ,ダイズ,インゲンに強い病原性を示したが,品種によりその程度は異なった。
Pythium sp. Aは,テンサイに対し,またマメ科作物ではエンドウ2品種,ダイズ1品種,インゲン3品種に強い病原性を示した。
網走支庁
管内19か所および帯広1か所から生育の劣ったインゲンを採取し,根から
Pythium属菌を分離したところ,1か所から,
P.myriotylum, 7か所から
Pythium sp. Aが得られた。
北見農業試験場の連・輪作試験圃場5区,
網走支庁
管内17か所,伊達1か所,帯広1か所の各種作物の畑地より土壌を採取し,ライムギ苗を用いて間接分離を行った。その結果,
P. myriotylumはいずれの土壌からも分離されず,
Pythium sp. Aは3か所から分離された。以上の結果から,
P. myriotylumと
Pythium sp. Aは宿主範囲および分布ともに狭い種と認められる。
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