本研究の第一の目的は,「理科と
数学
の教科等横断的な学習」が「理数の関連性の意識化」,「学習方略」および「自己効力感」を媒介し,「理
数学
習の有用性」に影響を及ぼすと仮定した因果モデルに基づいた質問紙を作成し,「理科と
数学
の教科等横断的な学習の意義」を構成している諸要因の因果モデルを明らかにすることであった。さらに,理科と
数学
の好き嫌いと各要因の関連性を明らかにすることが第二の目的であった。質問紙調査を行った結果,第一の目的については,「問題解決への意識」,「関数的な見方・考え方」,「理
数学
習の有用性」,「理科における学習方略」,「理科学習での
数学
の必要性」,「数式化・数値化の意識」の6つの因子が理科と
数学
の教科等横断的な学習の意義として抽出された。また,重回帰分析とパス解析を行った結果,「関数的な見方・考え方」が,4因子(「問題解決への意識」,「理科における学習方略」,「理科学習での
数学
の必要性」,「数式化・数値化の意識」)を経由しながら「理
数学
習の有用性」に間接的に影響を及ぼしていることが明らかになった。さらに,第二の目的については,理科と
数学
の好き嫌いと各因子得点の比較検討から,「数式化・数値化の意識」において,Ⅱ
群
(
数学
は好きだが,理科はあまり好きではない)とⅢ
群
(理科は好きだが,
数学
はあまり好きではない)との間で有意な差が見られた。理科学習において,「数式化・数値化の意識」を高めるために,自然の事物・現象や実験結果を
数学
的な知識・技能を活用しながら定量的に分析・解釈し,グラフ化したり公式や規則性を導いたりする活動の必要性が示唆された。
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