2001年9月から12月までの間に全国10施設において尿路感染症と診断された412症例から分離された531菌株を供試し, それらの患者
背景
について性別・年齢別と感染症, 感染症と菌種, 年齢別感染症別菌分離頻度, 抗菌薬投与時期別の菌と感染症, 感染防御能低下に影響を及ぼす因子・手術 (以下因子・手術) の有無別の菌と感染症などにつき検討した。
年齢あるいは性と感染症の関連についてみると, 男性の症例は50歳未満が少なく, 感染症別ではカテーテル非留置複雑性尿路感染症が最も多かった。女性の症例では20歳未満が少なく, 感染症別では80歳未満の症例の大部分が単純性尿路感染症であった。感染症と菌種については
Escherichia coliは感染症が複雑になるに従い減少し,
Pseudomnas aeruginosaおよび
Enterococcus faecalisは感染症が複雑になるに従い増加した。これらを年齢別にみると, 単純性尿路感染症では20歳以上の症例でEcoliの分離頻度が加齢に伴い緩やかに減少した。また, カテーテル非留置複雑性尿路感染症では,
E. faecalisの分離頻度が, 加齢とともに増加した。カテーテル留置複雑性尿路感染症では,
P. aeruginosaの分離頻度が年齢とともに減少した。いずれの感染症でも
E. coliは抗菌薬投与後症例 (以下「投与後」) において分離頻度は少なく,
P. aeruginosaおよび
E. faecalisは投与後で多く分離された。因子・手術の有無別, 感染症別に分離菌をみると,
E. coliは, 単純性尿路感染症およびカテーテル非留置複雑性尿路感染症において因子・手術の無で多く分離され, 君aeruginosaは単純性尿路感染症およびカテーテル留置複雑性尿路感染症において因子・手術の有で多く分離された。単純性尿路感染症では,
Klebsiella spp.,
P. aeruginosa, E. faecalisなどは因子・手術の有で著明に多く分離された。カテテル非留置複雑性尿路感染症では,
Klebsiella spp.が因子・手術の有で多く分離された。カテテル留置複雑性尿路感染症では,
Staphylococcus aureusおよび
Staphylococcus spp.が因子.手術の無で多く分離された。
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