【目的】cT1腎癌に対する腹腔鏡下根治的腎摘除術およびハンドアシスト腹腔鏡下根治的腎摘除術の長期成績についてoncological outcomeならびに腎機能の変化を中 心に報告する.
【方法】1999年11月から2013年12月までに施行したcT1腎癌に対する腹腔鏡下根治的腎摘除術 (ハンドアシスト症例をふくむ) 363例について臨床病理学的因子や手術成績, 生存率を後方視的に検討した. さらに, 透析症例を除いて術前術後のCREが確認可能であった症例99例について術前後の血清eGFR値を算出し比較した.
【結果】観察期間は中央値68か月 (0-204か月) であった. 5年生存率は90.1%, 10年生存率は80.9%であった. また, 癌特異的5年生存率は95.5%, 同10年生存率は90.4%であった. さらに5年非再発率は91.4%, 10年非再発率は86.5%であった. 全363例中, 観察期間内に再発を確認した症例は34例 (9.4%) であった. 再発までの期間は中央値36か月 (5-143か月) で, 17例が観察期間内に癌死していた. 腎機能については99例の観察期間は中央値60か月 (0-182か月) であった. eGFR値については手術前は72.5±16.1で後は 47.8±14.5と術後有意に悪化していた (p<0.0001). 年齢, 術前のeGFR値, BMI値が術後のeGFR値と有意に相関していた.
【結語】T1腎癌に対する腹腔鏡下根治的腎摘除術は, 諸家の報告と同様に制癌性はすぐれているが, 術後有意に腎機能の悪化を認め, 年齢の高い患者や術前のeGFR値が高い患者ほど術後の腎機能悪化が起こりやすい結果であった.
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