Conjoined twins(結合双胎児)は50,000から200,000分娩に1例発生する双胎の形態異常と報告されている.今回われわれは,リアルタイム3D超音波断層装置を用いることによって妊娠13週で結合双胎児を疑い,妊娠14週でcephalopagusの結合双胎児との診断が可能であった1例を経験したので報告する.症例は28歳で初妊婦.今回の妊娠は自然妊娠で,飲酒歴,喫煙歴,薬剤服用歴もなく,放射線被曝歴や発疹や発熱などのウイルス感染を疑わせる症状も認めず.血族結婚も認めず.夫は31歳で,既往歴,家族歴に特記すべきことはなく,1日10本程度の喫煙はあるものの,飲酒歴,薬剤服用歴はなし.妊娠14週4日のリアルタイム3Dおよびパルスドプラ超音波検査にて,児頭は1つであるがその児頭は腫大しており,胸部は1つでその胸郭内に2つの心拍動を認めた.臍より下部は2胎認め4本の下肢を認めた.4本の下肢の運動は良好であった.したがって,本症例は結合双胎児で,両児は向き合って抱き合うような形であり,顔面から胸部にかけて結合しており,腹部より下はそれぞれ独立していることからcephalopagusと診断した.家族と相談の結果,人工妊娠中絶術を行った.死産児は,体重は両児合わせて60g,身長はそれぞれ11.5cm,胎盤は1つで臍帯も1本であった.1児は腹壁欠損しており,肝臓および腸管の脱出を認めた.両児の皮膚で行った染色体分析では,両児とも46,XXであった.結合双胎児は非常にまれな疾患であり,妊婦やその家族は胎児の立体構造を理解し難く受け入れることはたいへん困難である.しかし今回は,リアルタイム3D超音波およびパルスドプラ超音波画像を妊婦とその家族に見せながら説明したところ,胎児の状況を容易に正確に把握することができた.また早期に診断することは妊婦やその家族の身体的・精神的負担を軽減することができ,リアルタイム3D超音波の有用性を実感した.〔産婦の進歩61(1):1-6,2009(平成21年2月)〕
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