気管支肺胞洗浄液(BALF)に含まれる細胞成分の分画像は, 各種肺疾患の活動性や治療決定の指標として重視されつつある。このBALF細胞分画の分析法として従来, 主にcytocentrifuge法とsedimentation法が用いられてきた。我々は, この2法にさらにsmear法を加えた3法を用いて対象30例のBALF細胞分画標本を作製しそれぞれの多形核白血球値, リンパ球値, 肺胞マクロファージ値を算定し, 比較検討した。さらに, 多形核白血球値が低値(<1.0%)を示した16例に対し, 総細胞数算定の際に用いた
血球計算盤
上の小型細胞の占める比率と, smear法を用いて作製した細胞分画中のリンパ球値とを比較検討した。その結果, smear法に比べ, 他の2法を用いた場合には, リンパ球値が有意に低下することが明らかになった。また, smear法にて作製, 算定した細胞分画も, リンパ球値をかなり過小評価している可能性が示唆された。今後さらにBALの普及が予想される現在, BALF細胞分画を正確に評価できる分析法が要求される。
抄録全体を表示