網赤血球の立体形態を検討するために, ニュウメチレンブルウ (NMB) 染色によって網赤血球と同定された赤血球を走査電子顕微鏡で観察する方法を考案し, 正常人 (10名) と網赤血球増多症 (4名) について観察を行なった. 一般に使われている Brecher の染色液は 赤血球の形態を変化させることがわかったので, 0.5%NMB液 (0.15Mリン酸緩衡液, pH7.4) を採用した. Thoma の
血球計算盤
の中央の分画部を切り出し, あらかじめNMB染色ののち 固定, 水洗した赤血球を この上にのせ乾燥させる.
血球計算盤
の分画線を目標にして光顕で同定した網赤血球を 走査電顕で観察した.
正常人では 表面が平滑で中央がくぼんだ円板-つまり一般的な成熟赤血球の形態-をとる網赤血球が大部分であった.
網赤血球増多症では このような形のものが半数を占めたが, 他の半数は類球状や球状で, 細胞の一極に集中して陥凹や隆起がみられ, これは赤芽球の脱核直後の像と考えられた. また網赤血球増多症の多くの網赤血球の表面には, BESSISらの Rhopheocytosis に相当すると思われる小穴がみられた. 以上の成績をもとに, これまでの光線顕微鏡や透過電子顕微鏡による諸家の成績を参考にしながら 赤血球から脱核をへて 網赤血球らさに成熟赤血球に至る外形の経過を模式図で示した.
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