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クエリ検索: "被甲目"
7件中 1-7の結果を表示しています
  • 西岡 佑一郎, 楠橋 直, 高井 正成
    哺乳類科学
    2020年 60 巻 2 号 251-267
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/04
    ジャーナル フリー

    化石記録と分子系統の結果が一致しないという問題は今に始まった話ではないが,近年,哺乳類の現生目の起源と放散が中生代なのか,新生代なのかという点が多く議論されてきた.哺乳形類の起源は2億年以上前であり,中生代のジュラ紀から白亜紀にかけて,ドコドン類との共通祖先群から単孔類,有袋類,有胎盤類に繋がる狭義の哺乳類が分岐したと考えられている.化石記録に基づくと,有胎盤類に含まれる現生目の多くが新生代の古第三紀初頭(6000万~5000万年前)に出現しており,未だ白亜紀からクラウン・クレードの確実な化石は発見されていない.これは有胎盤類が古第三紀初頭に爆発的に放散したという仮説を支持しているが,一方で白亜紀/古第三紀境界(約6600万年前)から有胎盤類の放散時期までの時間があまりに短すぎるという批判もある.最近の研究では,有胎盤類のクラウン・クレード(異節類やローラシア獣類など)の起源が白亜紀,目レベルでの放散が暁新世に起きた可能性が示されており,現状ではそれが化石記録と分子系統の折り合いをつける最適な解釈であろう.

  • 谷戸 崇, 岡部 晋也, 池田 悠吾, 本川 雅治
    タクサ:日本動物分類学会誌
    2022年 53 巻 31-47
    発行日: 2022/08/31
    公開日: 2022/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    Treatments of species taxonomy for Japanese mammals in “Illustrated Checklist of the Mammals of the World” (CMW) published in 2020 and nine volumes of “Handbook of the Mammals of the World” (HMW) from 2009 to 2019 are compared with those in the second edition of “The Wild Mammals of Japan” (WMJ2) in 2015. Then, the updated taxonomy and current problems of Japanese mammals were discussed. Order Eulipotyphla in CMW and HMW combined orders Soricomorpha and Erinaceomorpha in WMJ2, and Order Cetartiodactyla in CMW joined orders Artiodactyla and Cetacea in HMW and WMJ2; both in reflecting the recent molecular phylogenetic studies. A comparative list of the species names of Japanese mammals between CMW and WMJ2 was made, also with reference to descriptions and literatures in HMW. In CMW, 160 species are found in Japan, and 21 species of them had species names different from WMJ2. Concerning about these species and about species necessary for special consideration in species taxonomy or geographic range, 34 comments were provided for discussion.

  • 長谷川 政美
    哺乳類科学
    2020年 60 巻 2 号 269-278
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/04
    ジャーナル フリー

    近年のDNA塩基配列解析は,真獣類の系統関係についてさまざまなことを明らかにしてきた.そのなかでの大きな発見の1つが,真獣類は系統的にはアフリカ獣類,異節類,北方獣類という3大グループに分類できるということである.このことは,真獣類の初期進化に大陸移動による超大陸の分断が関わっていることを示唆する.しかし,超大陸の分断だけで,3大グループの間の分岐を単純に説明することはできない.これには,DNA塩基配列解析の第2の大きな成果である分岐年代推定の問題が関わっている.進化の過程でDNAの塩基置換が蓄積する速度は,さまざまな要因によって変動するので,文字通りの分子時計は成り立たない.しかし,分子進化速度の変動を考慮に入れて分岐年代を推定する方法が整備されてきた.そのような方法により,真獣類の3大グループの間の分岐は,超大陸の分断よりも新しいという証拠が集まりつつある.このことは,超大陸が分裂した後も,地質学的な時間スケールでは,大陸間で海を越えた漂着などによって生物相の交流が続いたことを示唆する.こうして真獣類の進化は,大陸移動に伴う超大陸の分断と,幸運に恵まれてはじめて成功する海を越えた漂着という2つの要因が絡み合って進んできたことが明らかになってきたのである.DNA塩基配列解析の第3の大きな成果は,現生生物のゲノム情報から祖先の生活史形質や形態形質などを推定できることであろう.本稿では,2017年に吴らが開発したゲノム情報から祖先形質を推定するための統計手法を解説し,それを真獣類の生活史形質の進化の問題に適用して得られた結果もあわせて紹介する.

  • ―阿部(2005)とWilson and Reeder(2005)の比較―
    本川 雅治, 下稲葉 さやか, 鈴木 聡
    哺乳類科学
    2006年 46 巻 2 号 181-191
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/02/01
    ジャーナル フリー
    日本産哺乳類の最近の分類体系について,阿部(2005)「日本の哺乳類 改訂版」(以下,日本哺乳類2)とWilson and Reeder(2005)「Mammal Species of the World」第3版(以下,MSW3)での扱われ方について検討した.明らかな外来種と鯨目,および海牛目を除くと,日本産哺乳類として,日本哺乳類2は116種,MSW3は120種を認めた.高次分類群に関連して,日本哺乳類2を含む従来の文献で食虫目(Order Insectivora)とされていた一群は,MSW3ではアフリカトガリネズミ目(Order Afrosoricida),ハリネズミ形目(Order Erinaceomorpha)およびトガリネズミ形目(Order Soricomorpha)の3つに分割され,日本産の「食虫目」に含まれるトガリネズミ科とモグラ科はすべてトガリネズミ形目に含まれた.種レベルでの両書の分類体系について,記述された内容や引用文献の内容などに基づいて対応表を作成したところ,種レベルでの分類体系について両書で相違が見られた.また,両書が編集,出版された後に,日本産哺乳類の分類体系について大きな変更や分類学上の重要な知見がいくつかの種で得られている.これらの37項目について,本文中でコメントした.
  • 斎木 健一, 黒住 耐二
    生物教育
    2023年 65 巻 1 号 2-17
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/26
    ジャーナル フリー

    本研究では戦前にさかのぼる古い歴史をもつ千葉,静岡,大阪,福岡の高等学校14校に保存されている哺乳類と鳥類の剥製標本731点を調査し,その実態を明らかにしたうえで,当時の法令,教科書その他の文献等の資料をもとに標本が教育上のどのような必要性から揃えられたのかを推定し,今後の活用方法について考察した.剥製標本は1900(明治33)年以降に購入されたものが多く確認された.その目的は,実物の観察を通して正確な概念を得るためであったが,実際には教科書の記述内容を目視により確認する目的で使用されたと推定される.このため,剥製標本の種類は当時の教科書での哺乳類・鳥類分類体系に沿って目のレベルで分類群を網羅するように選ばれていた.しかし,1942(昭和17)年に行われた中学校教授要目の改正で,扱う分類群が綱レベルまでに変更され,内容も生物の生態や生理を重視したものに変更されたため,目ごとに剥製標本で形態を確認するような授業は行われなくなり,購入標本もほとんど認められなくなった.現在では,高等学校学習指導要領に哺乳類,鳥類の目レベルの分類に関する内容はない.しかし教科書には,保護色や擬態,相同に関する説明など分類以外で剥製を活用できる箇所は多い.また,剥製標本には,種の保存法やワシントン条約等で取引が規制され希少かつ入手困難な標本も多く,生物多様性保全や生態系保全などを考える際の教材としての活用も期待できる.

  • 川田 伸一郎, 小森日 菜子, 郡司 芽久
    国立科学博物館研究報告A類(動物学)
    2023年 49 巻 2 号 81-95
    発行日: 2023/05/22
    公開日: 2023/05/22
    ジャーナル フリー

    Information on specimens of the giraffe, Giraffa camelopardalis, dating from the Meiji era in Japan, is reviewed based on a literature survey. The first giraffe specimen was a mounted skin imported by Yoshio Tanaka, obtained at the Centennial World Exposition in Philadelphia, USA. This specimen was exhibited at the Imperial Museum in Tokyo until 1910. It was subsequently moved to the Tokyo Women’s Higher Normal School (presently Ochanomizu University), and then lost. We found several photographs and drawings estimated to be of this specimen in popular magazines and digital archives of the museums. The first live giraffes in Japan were a pair provided by German animal dealer, Carl Hagenbeck, to Ueno Zoo in 1907. This female and male pair of giraffes died the following year, and their skins and skeletons were preserved and mounted. Our survey also found several reports about these two individuals after their deaths in several popular magazines, books, and newspapers. This paper presents a summary of the events clarified to date, including these specimens’ condition, and discusses them in the context of the history of Japanese museums.

  • 川田 伸一郎, 岩佐 真宏, 福井 大, 新宅 勇太, 天野 雅男, 下稲葉 さやか, 樽 創, 姉崎 智子, 横畑 泰志
    哺乳類科学
    2018年 58 巻 Supplement 号 S1-S53
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
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