近年、都市において都市河川と河川環境の重要性が認識されるようになってきている。しかし都市部における河川整備や利活用の立地に着目すると、その多くは観光地・商業地であり住宅地では行われていない。今日 QOLへの社会的関心が高まっていることを考慮すると、今後は既成住宅市街地でも河川空間の利活用が進むことが望ましい。 また利活用に向けては、河川と市街地の接点である河川管理用通路の開放が必要であり、それに向けては沿川建物の特性と一体的に考えていくべきである。 そこで、本研究では、これら2つの関連を調査し、河川管理用通路と沿川建物の特性との関係性を明らかにすることで河川管理用通路の開放やアクセス性の向上への課題や可能性を論じることを目的とする。 結果、以下の所見が得られた。 1)沿川の住民のプライバシーと防犯上の懸念が河川管理用の開放を妨げている。 2)河川北側に位置するベランダ、建物用途に商/工併用住宅が多いこと、などの沿川建物の特性と河川管理用通路の実態との関係があり、住民のプライバシーや防犯意識がそのような特性をもっている区間において強く作用している。
抄録全体を表示