詳細検索結果
以下の条件での結果を表示する: 検索条件を変更
クエリ検索: "身体的虐待"
676件中 1-20の結果を表示しています
  • 緒方 康介
    犯罪心理学研究
    2010年 48 巻 1 号 11-20
    発行日: 2010/08/25
    公開日: 2017/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は児童相談所で出会う

    身体的虐待
    被害児における知能の偏りを調査することである。児童相談所のケース記録から抽出された
    身体的虐待
    群58名と,マッチング法により性別(男児41名,女児17名),年齢(月齢139カ月),全検査IQ(平均86)を統制された対照群58名のデータにおけるWISC-IIIの下位検査プロフィールを比較分析した。まず
    身体的虐待
    群の全下位検査評価点がノルムよりも低いことを1サンプルのt検定で確認した。その後,多変量分散分析によって10の下位検査における全体的な群間差が検出された。つづいてボンフェロニーの修正を施したpaired-t検定,ロジスティック回帰分析,判別分析の結果,いずれにおいても絵画完成と絵画配列における群間差が示された。対照群に比べて
    身体的虐待
    被害児は,絵画完成課題で高く,絵画配列課題で低い評価点であった。最後に全下位検査評価点の平均値と2つの下位検査評価点を比較すると,
    身体的虐待
    群で絵画配列が低く,対照群で絵画完成が低いという有意傾向が得られた。本研究知見の臨床実践上の意義について,
    身体的虐待
    被害と絵画完成および絵画配列に関する知的能力との関連,
    身体的虐待
    と非行との関連という観点から考察した。

  • 安治 陽子
    日本教育心理学会総会発表論文集
    2004年 46 巻 PA084
    発行日: 2004/09/10
    公開日: 2017/03/30
    会議録・要旨集 フリー
  • 周 燕飛
    医療と社会
    2019年 29 巻 1 号 119-134
    発行日: 2019/05/24
    公開日: 2019/06/05
    [早期公開] 公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究は,母親による児童虐待の発生要因について,子育て世帯に対する大規模調査データを用いて分析を行った。その結果,児童虐待が発生する背景には,母親の病理的要因のみならず,経済環境と社会環境も影響していることが分かった。具体的には,母親が健康不良,うつ傾向,DV被害者といった病理的特徴を持つ場合や,貧困など経済状況の厳しい場合,周囲から十分な育児支援を得られない場合に,虐待確率が高い。

    いずれの種別の児童虐待についても,健康不良,メンタルヘルスの問題,未成年期の虐待経験など,母親自身の病理的要因の影響が確認される。一方,経済環境と社会環境の影響は,虐待の種別により若干の違いが見られる。「

    身体的虐待
    」は,貧困家庭というよりも,多子家庭で生じやすい。「育児放棄」は,低出生体重児のいる家庭やひとり親家庭で発生する確率が比較的高い。

  • 木下 綾子, 木村 有太子, 今 泰子, 大日方 薫, 須賀 康
    日本皮膚科学会雑誌
    2013年 123 巻 8 号 1515-1525
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    2008年4月から2012年12月までの期間に,順天堂大学浦安病院皮膚科を受診した患者のうちで,児童虐待(
    身体的虐待
    )と診断を受けた7症例について検討をおこなった.7症例はいずれも熱傷を主訴として来院した生後8カ月から3歳10カ月までの男児であり,来院時に皮疹の形状が不自然であったことや両親から聴取した受傷機転が臨床所見と一致しなかった為,児童虐待を疑われて入院となった.入院中は当院の子ども安全対策チームとの医療連携をおこない,十分な協議の結果,児童虐待による熱傷と判断されたため,当該地区の児童相談所へ通告をおこなった.本論文では自験7症例についての臨床経過の詳細を報告するとともに,障壁が多いとされる児童虐待患者への対応についても合わせて言及した.
  • ―― 介護者と被介護者の続柄および性別による検討 ――
    矢吹 知之, 吉川 悠貴, 阿部 哲也, 加藤 伸司
    老年社会科学
    2016年 37 巻 4 号 383-396
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     認知症高齢者を介護する家族自身の,介護生活中における高齢者虐待の蓋然性自覚を属性および性別ごとに明らかにしたうえで,その支援方法について検討した.家族介護者を対象に実施した質問紙調査819人の自由記述をテキストマイニング手法にてカテゴリを生成し,コレスポンデンス分析にて虐待の蓋然性自覚の生起要因について続柄および性別の特徴を読み取った.その結果,「夫が妻」「息子が母親」が「介護放棄」の蓋然性を自覚しづらい傾向であった.続柄による生起要因の特徴は,夫婦間の介護は,将来の不安を感じることで介護放棄の蓋然性を自覚すること,娘が母親では,父親を介護するよりも蓋然性を自覚する要因が多いこと,また嫁が介護する場合サービス利用の拒否が他の続柄に比べ負担となることが明らかになった.息子では被介護者の性別により生起要因が異なることが示された.概して専門職による虐待未然防止には,一括した家族支援策ではなく被介護者との続柄と性別を意識した対応の必要性が示唆された.

  • 「不利の累積仮説」の検証
    三谷 はるよ
    福祉社会学研究
    2019年 16 巻 179-199
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2019/10/10
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,「不利の累積」という視点から孤立の規定構造を明らかにす

    ることである.孤立の規定要因に関する先行研究では,社会経済上の不利,家

    庭生活上の不利,健康上の不利を抱える人ほど孤立しやすいことがわかってい

    る.しかしこれまでの研究では,成人期の不利が子ども期の不利から引き継が

    れたものであるという可能性が考慮されてこなかった.そこで本稿では,「子

    ども期に不利(貧困・虐待・いじめ・不登校)を経験した人は,成人後に社会

    経済上,家庭生活上,健康上の不利を抱えやすい結果として孤立しやすくなる」

    という「不利の累積仮説」を,全国調査データによって検証した.

     主要な分析結果は以下のとおりである.第1 に,子ども期に貧困,不登校(中

    学校時代)を経験した人は低学歴になりやすく,無配偶になりやすいため,孤

    立しやすい.第2 に,子ども期に

    身体的虐待
    ,不登校(小中学校時代),いじ

    め(中高校時代)を経験した人は,抑うつ傾向が高いため,孤立しやすい.第

    3 に,子ども期の貧困,ネグレクトは直接的に孤立に結びつきやすい.

     以上の結果から,子ども期からの不利の累積によって孤立が形成されている

    こと,また,子ども期の不利それ自体(とくに貧困,ネグレクト)も孤立に対

    し無視できない影響を与えていることが示唆された.本稿は,不利な状況に置

    かれた子どもたちへの早期ケアこそが,将来の孤立に対する有効な予防策であ

    る可能性を示している.

  • 立松 聖一
    ストレス科学研究
    2020年 35 巻 14-20
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/08
    ジャーナル フリー

    This article outlines the general response to child abuse by child consultation centers and support during the coronavirus (COVID-19) pandemic based on the experiences of a child welfare officer at Sagamihara City Child Consultation Center. Child abuse is increasing in Japan. Home visits and interviews are important support methods used by child consultation centers, but are difficult to implement due to the pandemic. Moreover, from the perspective of preventing infection, rebuilding parent-child relationships is difficult given that children and their parents cannot meet. For this reason, providing support in consideration of the burden on families and children is important. Since child welfare officers are affiliated with local governments, views on methods of support differ nationwide, although the overall goal of “safety first” is shared. Our findings highlight the importance of continuously providing support that considers the best interests of children.

  • 鈴木 英子, 安梅 勅江
    日本保健福祉学会誌
    1999年 5 巻 2 号 17-30
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    高齢者虐待の予防のため、在宅高齢者の虐待を受けるリスクと高齢者及び介護者の特性との関連を明らかにする事を目的とした。大都市近郊A農村の60歳以上の虚弱及び障害者手帳1、2級取得高齢者を対象とし訪問面接法により調査を実施した。虚弱高齢者78人中被虐待リスクのある者は14人(17.9%)であった。被虐待リスクのある者14人中75歳以上の女性が8人(57.1%)を占めていた。虐待の種類は、情緒的・心理的虐待が最も多く、ついで介護拒否・放棄であり、被虐待リスクのある者の殆どが重複した虐待を受けていた。介護者は、嫁が27人(50%)と最も多く、介護者が嫁であるとそうでない場合より、虐待リスクが4.7倍であり、妻で虐待リスクのある者はいなかった。痴呆、依存度が高い、失禁、徘徊、感覚障害等がある高齢者の場合はそうでない場合に比べ、被虐待リスクは高かった。加齢によるADLの低下や痴呆に対する理解がない、健康障害がある、役割負担感がある、介護に対する協力を他から得られない等の介護者がそうでない場合に比べ虐待リスクは高かった。高齢者、介護者の特性でロジスティック回帰分析の結果有意であったものについて多重ロジスティック回帰分析を行い、ステップワイズ法により変数選択した結果、高齢者の問題行動で徘徊が、介護者の特性で健康障害及び対象への無理解が選択された。基準状況を設定しそれらを複合的に解析したところ、高齢者が徘徊をしても介護者が健康であれば虐待のリスクは軽減され、介護者に健康障害があっても高齢者の状況への理解があれば虐待リスクは軽減されるという知見が得られた。痴呆や、要介護にならないための予防対策に加え、加齢によるADL低下や痴呆症状への理解を深めるための介護者への教育や、痴呆老人に対する具体的介護法の提供等の有効性が示唆される。また、介護者の介護負担を軽減、介護者の健康状態を把握するためのシステムの確立により介護者の疲労蓄積の除去、疾病予防をはかることが急務である。
  • ―― 虐待の背景に着目して ――
    豊島 彩, 田渕 恵, 佐藤 眞一
    老年社会科学
    2016年 38 巻 3 号 308-318
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2019/11/15
    ジャーナル フリー

     本研究は,専門的知識のない一般的集団として学生を対象に,高齢者虐待に関する認識と高齢者に対する顕在的態度および潜在的態度との関連性の検討を行うことを目的とした.虐待行為そのものを示す項目と,虐待発生の前提条件を加えた項目を含めた高齢者虐待観尺度を作成し,学生49人を対象として質問紙による顕在的態度と潜在連合テスト(IAT)による潜在的態度の測定を行った.高齢者に対する態度を独立変数,各虐待観尺度の得点を従属変数とした重回帰分析の結果,

    身体的虐待
    と心理的虐待の一部の項目において,顕在的態度が肯定的であることが虐待の認識の高さと有意に関連していた.心理的虐待では,前提条件があることで認識度が高まる項目において,潜在的態度が肯定的であることが虐待の認識の高さと有意に関連していた.本研究の結果から,虐待発生の前提条件がある項目の認識に関して,潜在的態度と顕在的態度の両方が虐待の認識に影響を与えていることが明らかになった.

  • 学校環境に関わる問題を中心に
    数井 みゆき
    教育心理学年報
    2003年 42 巻 148-157
    発行日: 2003/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    子ども虐待は増加の一途を日本でもたどっているが, 虐待についての研究や報告は臨床現場からのものが多く, 被虐待児一般の発達プロセスについては日本ではほとんど研究が行われていない。その実施の難しさは確かにあるが, 家庭以外の場で被虐待児が日常的に関与する学校現場における問題や課題を理解していることは重要だろう。アメリカを中心にした研究の概観から, 学習意欲の減退や学業成果の悪化など基礎学力が大幅に低下をしていること, また, 攻撃性が高くて仲間から拒絶や無視を受けやすいという対人関係の問題を抱えやすいことなど, 学校生活を円滑に送り, 子ども自身が能力を高めていくことが阻害されている現実が明確になった。さまざまな問題に対する教育現場や教師の対応についても論じられている。
  • 加藤 和生, 小林 美緒
    日本教育心理学会総会発表論文集
    2003年 45 巻 PE50
    発行日: 2003/07/05
    公開日: 2017/03/30
    会議録・要旨集 フリー
  • 林 弘正
    憲法論叢
    2009年 16 巻 115-152
    発行日: 2009/12/22
    公開日: 2018/01/10
    ジャーナル オープンアクセス
    In this article, I have referred to the current state of child abuse in Japan and listed serious problems in solving from the viewpoint of the criminal law. The prevention of child abuse is indispensable to constructing of social systems and it needs multidisciplinary corporation with the other organizations and various occupations like the Multidisciplinary Team. We have to continuously study and share experience that leads to protect child from abusing and prevent child abuse. The childhood sexual abuse is one of child abuses that victims are forced to be imposed a lot of emotional burden and the most of victims has frequently suffered from PTSD. Especially in the case that perpetrators are father by birth or teacher. In such case the victims are forced more difficulties in recovery due to self-reproach. So childhood sexual abuse should be considered this status and take measures to prevent from the viewpoint of the public health. I would like to propose three new provisions for childhood sexual abuse in order to prevent childhood sexual abuse and regain the victim's self-esteem. 【Proposal 1】Make a new provision that the age of object raises from 13 to 14 in case of crimes of rape and forcible indecency. 【Proposal 2】Make a new provision to forbid childhood sexual abuse by a person who is at a certain position like a person being relatives, the one living with a child obliged to care for, or the one obliged to teach or guide.
  • ─ Battered Child から Child Maltreatment へのパラダイムシフト
    内ヶ崎 西作
    日大医学雑誌
    2022年 81 巻 5 号 267-272
    発行日: 2022/10/01
    公開日: 2023/01/08
    ジャーナル フリー

    The number of child abuse cases continues to increase year by year in Japan. Abused children may visit anymedical department, not just pediatric departments. Medical doctors and medical professionals in any clinical department are expected to have basic knowledge of the current way of thinking about child abuse and precautionsat the first visit.

  • 久保 美抄, 鎌田 佳奈美, 池田 友美
    日本小児看護学会誌
    2023年 32 巻 84-91
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は子ども虐待の発見や報告および連携に関する看護師の知識・判断・認識・自信を明らかにすることである。全国の小児専門病院と300床以上の小児病棟を有する計504件の病院のうち、調査の承諾を得られた99件の病院の小児外来、小児病棟、救急外来などに勤務する1,634名の看護師を対象に自記式質問紙を用いて調査を実施した。回収のあった710名(回答率43%)のうち有効回答を得た630名(有効回答率39%)を分析対象とした。結果、社会資源や性的虐待に関する知識、対応への自信が低く、判断においては精神症状に関する項目に対して「わからない」と回答した者が3割程度であった。以上より虐待を疑った時の看護師の報告・連携行動において、社会資源の活用や性的虐待に関することへの関与ができていないことが明らかになり、積極的な報告・連携行動を促すためには今回の結果をもとに研修内容を検討していく必要性が示唆された。

  • 山田 不二子
    月刊地域医学
    2020年 34 巻 9 号 23-
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2024/02/22
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • 山田 不二子
    日本重症心身障害学会誌
    2016年 41 巻 1 号 59-64
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/09/03
    ジャーナル フリー
    著者はこれまで、NPO活動や被虐待児の診察等を通して、多くの虐待・ネグレクト事例に関わってきたが、それらを通して感じてきたことは、虐待・ネグレクトの被害を受ける子どもたちの中には、障害を持つ子どもたちが少なくないという事実である。そこで本稿では、障害を持つ子どもたちが虐待・ネグレクトを受けやすいメカニズムについて検討を加えたい。さらに、障害児虐待を考えるときに無視できないものとして、施設内虐待がある。この点についても、そのメカニズムと対応策について私見を述べようと思う。保護者による障害児虐待にせよ、施設内虐待にせよ、加害者心理を解き明かすことは容易ではないが、誰もが虐待という誘惑にさらされていることを自覚する必要がある。障害児の虐待・ネグレクトについては、自らが加害者にならなければよいというものではない。誰かによって虐待・ネグレクトを受けた障害児を見逃さないために知っておくべき知識についても本稿で触れることとする。
  • 大草 亘孝, 中井 真理子
    日本再生歯科医学会誌
    2024年 22 巻 1 号 11-18
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/06
    ジャーナル オープンアクセス

    子どもへの虐待の早期発見は喫緊の課題である.相談対応件数についても統計開始以来右肩上がりが続いている状況である.特に大都市での相談対応件数が増加傾向にあり、早期に対応が求められる.我々歯科医療に携わる者として虐待の定義、要因を把握することが必要であり、歯科医療時においても歯科領域と虐待との関連性も常に注意することが重要である.しかしながら、虐待により子供が亡くなった場合は真摯に受け止め、その事象を生かさねばならない.そこで法医学、歯科法医学分野では虐待死から様々なことを学び、今を生きる子ども達、臨床の現場に知識を還元し、早期発見・防止に貢献するわけでる.また、虐待と再生医療についても発展段階ではあるが、研究が進められており、被虐待児の海馬萎縮から虐待の記憶が抜けず世代伝播が多々見受けられるが、ニューロン新生によって世代伝播を食い止めることができる可能性があるとの報告もされている.

  • 荒木 義修
    法政論叢
    2003年 40 巻 1 号 58-65
    発行日: 2003/11/05
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    This paper reveals that child sexual abuse factor, aggressive dimension of the authoritarian personality and economic anxiety influence the current Japanese students who consider that religion is important. As a result it implies that such a perspective could explain also the behaviors of the Aum Shinrikyo Sect. The terrorist group that is mainly seemed to be consisted of young authoritarian males escape from freedom by committing to religion, namely Aum Shinrikyo to remove anxiety aroused by the serious economic crisis and child sexual abuse experiment.
  • 高砂 浩史, 梶 友紘, 松森 隆史, 小野 元, 後藤 哲哉, 田中 雄一郎
    小児の脳神経
    2022年 47 巻 1 号 1-6
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    最近10年間に経験した虐待が疑われる小児頭部外傷18例を検討し当院での取り組みを報告する.被虐待児の年齢や外傷種別などの臨床像は過去の報告と同様であった.一方当院での虐待防止委員会の取り組みとして,病院職員全体への啓蒙活動を充実させ報告の敷居を下げることで取り扱い件数が増え,児童相談所通告には至らずも育児支援を要するネグレクト事案などがあぶり出されることが増えた.小児専門以外の脳神経外科医も虐待を念頭に置いた診療と虐待に伴う社会対応を熟知する必要がある.

  • 林 紀乃, 松村 桜子, 高木 徹也, 梶原 正弘, 佐藤 喜宣
    杏林医学会雑誌
    1998年 29 巻 4 号 591-600
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2017/02/13
    ジャーナル フリー
    1987〜1996年の10年間に当法医学教室において7例のchild abuse事例を経験した。被害者の平均年齢は3歳Oケ月,性別は男児4例,女児3例であった。加害者は養父3例,実父2例,実母1例,実母と養父によるものが1例であった。これら7例はすべてが
    身体的虐待
    を受けており,そのうち5例は頭部外傷が死因となった。ネグレクトが原因の衰弱死や性的虐待が明らかに認められる事例はなかった。発作的な暴力が致命的だったsingle trauma homicideは4例,肉体的な虐待を繰り返しに加えられたbattered child syndromeは3例であった。当教室の事例ではbattered child syndromeの古典的な定義にある複数の長管骨骨折を伴った慢性硬膜下血腫を認めたものはなかった。またsingle trauma homicideとbattered child syndromeの加害者の法的処分に差は認められなかったが,その虐待について充分な理解の上で裁判が行われるように,child abuse事例を鑑定する際は,特に「繰り返し」行われた暴力なのか,「発作的に」行われた暴力なのか明確にすることが重要である。我が国ではchild abuseへの対応として児童福祉法によって子供の人権が守られている。しかしながら,このような法律があったとしても,child abuseは家庭内に潜在しがちであり,家族以外の人が子供の虐待を発見することは難しい。子供たちの命を守るために,医療機関と行政機関がchild abuseの未然防止や早期発見にさらに努めるべきである。
feedback
Top