2016 年 37 巻 4 号 p. 383-396
認知症高齢者を介護する家族自身の,介護生活中における高齢者虐待の蓋然性自覚を属性および性別ごとに明らかにしたうえで,その支援方法について検討した.家族介護者を対象に実施した質問紙調査819人の自由記述をテキストマイニング手法にてカテゴリを生成し,コレスポンデンス分析にて虐待の蓋然性自覚の生起要因について続柄および性別の特徴を読み取った.その結果,「夫が妻」「息子が母親」が「介護放棄」の蓋然性を自覚しづらい傾向であった.続柄による生起要因の特徴は,夫婦間の介護は,将来の不安を感じることで介護放棄の蓋然性を自覚すること,娘が母親では,父親を介護するよりも蓋然性を自覚する要因が多いこと,また嫁が介護する場合サービス利用の拒否が他の続柄に比べ負担となることが明らかになった.息子では被介護者の性別により生起要因が異なることが示された.概して専門職による虐待未然防止には,一括した家族支援策ではなく被介護者との続柄と性別を意識した対応の必要性が示唆された.