Flunitrazepamの強い鎮静効果を期待して,心身障害児17名,25症例に静脈内投与を行い,その鎮静効果を判定した.また,心身障害児16名,20症例に,flunitrazepamの静脈内投与と笑気吸入鎮静法を併用し,同様に鎮静効果を判定するとともに,静脈内投与単独の場合と効果を比較検討した.
1)Flunitrazepamの投与量の平均値は,flunitrazepam単独群では0.038mg/kgで,flunitrazepam・笑気併用群では0.039mg/kgであった.また,笑気濃度は50%であった.
2)鎮静効果を総合的に判定するとflunitrazepam単独群は,著効が12例(48%),有効が12例(48%)に認められ,無効は1例(4%)であった.Flunitrazepam・笑気併用群は著効が14例(70%),有効が5例(25%),やや有効が1例(5%)に認められ,flunitrazepam単独群と比べ,著効例が増加した.
3)笑気吸入法の併用によりflunitrazepamの単独投与に比べ鎮静効果は強くなり,また,flunitrazepam投与直後の鎮静深度が維持された.
4)Flunitrazepam単独群では,脳性麻痺児の不随意運動が抑制され,軽度の精神発達遅滞児に対しては強い鎮静効果を認めた.Flunitrazepam笑気併用群では,脳性麻痺児や精神発達遅滞児とともに自閉症的傾向を有する患児においても強い鎮静効果を認めた.
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