無放射失活により発生する熱エネルギーを測定することにより,芳香族アミノ酸とそのダンシル化物の蛍光の
量子収率
を測定した。トリプトファン(Trp),ダンシルトリプトファン(DNS-Trp),ダンシルグリシン(DNS-Gly)のエタノール溶液をそれぞれ280nm,360nm,360nmで励起したときの
量子収率
は,それぞれ0.10,0.54,0.50となった.一方,相対法による分光学的方法では,これらの物質の
量子収率
は,それぞれ0.15,0.53,0.48となり,両者はおよそ一致する.測定に用いた装置は市販の分光蛍光光度計(HITACHI 204S)をほとんどそのまま利用するもので,分光学的方法に比べ,より簡便に
量子収率
を求めることができる.蛍光波長が長く,適当な光電子増倍管を利用できない物質については,本法は分光学的方法に対し有利である.又蛍光分析法に対する相補的な方法としての本法の利用を検討した.
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