中世末から近世にかけて, 瀬戸内海は多彩な異人たちが航行し, 航海, 寄港地等について多くの記述を残した。16~17世紀のキリシタン宣教師, 17~18世紀の朝鮮通信使, 17~19世紀のオランダ商館員と, 瀬戸内海はこれら異人たちの布教や江戸入府の海の道となっていた。19世紀にわが国を訪れた近代の欧米人は瀬戸内海の風景を絶賛したが, これに先行するこれら異人たちは瀬戸内海の風景をどのように見ていたのであろうか。これら異人たちの瀬戸内海の風景とは何であったのか, 16世紀半ばから19世紀初めにかけての彼らの紀行文, 報告, 日記等の文献から, 瀬戸内海の風景の記述を分析することにより, 考察を行うものである。
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