【目的】当院では、2016年10月より救命救急
集中治療室
(以下救命ICU)におけるリハビリテーション(以下リハ)の早期介入目的に、主科からの直接リハオーダー制度(以下直オーダー制度)を導入した。今回、直オーダー制度導入により、リハ開始までの日数や救命ICU入室患者の身体機能などに変化があったか調査し、その効果を検討した。
【方法】対象は直オーダー制度導入前後各1年ずつの期間に、当院救命ICUに入院し、救命ICU在室中から理学療法を受けた患者のうち、疾患分類が呼吸器で、人工呼吸器を装着した患者とした。調査項目は①基本情報;年齢、性別、転帰、在院日数、入院からリハ開始までの日数、救命ICU在室期間、人工呼吸器装着期間、CAMICU、②リハに関する項目;端坐位・車椅子乗車・立位・歩行開始までの日数、Barthel Index(リハ開始時・終了時)、
集中治療室
活動度スケール(以下IMS)(リハ開始時、救命ICU退室時)、とし、診療録より調査した。 統計解析は直オーダー導入前(以下A群)と導入後(以下B群)の2群間で、対応のないT検定、χ
2検定、MannWhitneyのU検定を用い各項目を比較した。統計解析にはSPSS ver25.0 を使用し、有意水準は 5% 未満とした。
【倫理的配慮】当院倫理委員会にて承認を得た。
【結果】対象となった患者数はA群41名、B群46名であった。入院からリハ開始までの日数はA群4日(IQR:2-5)、B群3日(IQR:2-3.8)、救命ICU在室期間はA群10日(IQR:8-13)、B群6日(IQR:5-10)、人工呼吸器装着期間はA群9日(IQR:5-10)、B群6日(IQR:3-8.8)、立位開始までの日数はA群10日(IQR:7.8-13.3)、B群9日(IQR:4-11)とB群で有意に減少した。開始時のIMSはA群0点(IQR:0- 0)、B群1点(IQR:0-2.5)とB群で有意に高値を示した。
【考察】先行研究では、早期離床を図ることでICU在室期間や人工呼吸器装着期間が減少しADLの改善が促されるとされている。本研究では、リハの早期介入による早期離床の効果があったことが示唆された。
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