競走馬の疾病時における血清蛋白の異常を究明するため,日本
電気泳動学会の定めたセルローズアセテート電気泳動
標準操作法に準拠し,競走馬130例,乗馬14例から血清蛋白分画値を求め,さらに,これらの品種,年令,性別の差について検討を加えて,つぎの成績を得た。 1)セルローズアセテート
電気泳動
標準操作法は塗布量を0.8~1.6μlにすれば馬にも充分応用することができる。 2)alb.値,A/G比は,アングロ・アラブ種が最も高く,サラブレッドならびに中半血種がこれに次ぎ,和種は最も低値を示した。また,γ-glob.値は,和種が最も高く,中半血種ならびに,アングロ・アラブ種がこれに次ぎ,サラブレッド種は最も低値を示した。 3)サラブレッド種の3才以下の未出走馬は,出走中の4才以上の馬よりalb.値,A/G比は低く,逆にα およびβ-glob.値は高値を示し,γ-glob.値は年令とともに増加した。 4)alb.値,A/G比は牝が高く,γ-glob.,β-glob.は牡が高い傾向をみとめた。 擱筆するに当り,推計処理について御指導をいただいた競走馬保健研究所嘱託,宮川知典氏に深謝すとともに,実験に協力された石井靖子,内野登志子の両嬢に感謝する。
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