本研究では,昼間走行灯(DRL)の形状によりランプ間の幅知覚が変化するか検討した.DRL形状による幅錯視を一対比較法(実験1)と心理物理学的階段法(実験2)により検討した.DRL刺激は,黒背景に白の線分が左右対称に配置された2本の線分パターンで構成されていた.実験1では,35名の若年成人に最大幅を同一にした17種のDRL刺激のすべての組み合わせのペアを提示し,より広く見える方を選択してもらった.実験2では,28名の若年成人に9種のDRL刺激(標準刺激)と間隔の異なる2本の短い垂直白線(比較刺激)を提示し,幅の広く見える方を選択してもらった.いずれの実験結果も同様の傾向を示し,DRLの幅の錯視は,1)曲がっている部分や角張っている部分の位置(刺激の内側か外側)と,2)ミュラー・リヤー錯視との類似度が主な要因になっていることが示された.また,DRLの錯視は,その幅知覚を約5%変化させることが示された.
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