抄録
症例は62歳の女性で,2日前から腹痛が出現し徐々に増悪した.腹部CT検査で十二指腸周囲の後腹膜気腫と膿瘍を認め,上部消化管内視鏡検査で傍乳頭十二指腸憩室からの排膿を認めたため,十二指腸憩室炎の穿孔と診断し,緊急手術を施行した.十二指腸を授動したが穿孔部は判然とせず,直接的な縫合閉鎖は困難と考えたためドレーンを留置して手術を終了した.術後,炎症反応は陰性化したがドレーンから少量の排膿が続いた.瘻孔造影検査で十二指腸憩室内に陰影欠損を認め,上部消化管内視鏡検査で憩室内に腸石を認めた.内視鏡的に摘出できなかったため,手術で腸石を摘出し憩室を縫縮した.腸石は真性腸石であった.文献上本邦に十二指腸憩室穿孔は89例あり,28例に腸石を伴っていた.真性腸石はX線透過性であることが多く,自験例のように見過ごされることがあるため,十二指腸憩室に対する手術では腸石の有無を必ず確認すべきである.