火災安全性の見地よりフェノールコンポジット (フェノールFRP) が検討され始めたのは1980年代からである。
当初は急速にその市場が拡大されるものと予測されたが, その後の国際的な経済不況とコスト問題が相まって成長は鈍化し現在に至っている。
本年2月18日に発生した韓国大邸市営地下鉄の火災事故を契機として車両用FRPは大きく変わろうとしている。安全性の見地から鉄道車両材料の見直しが始まり, BS-6853規格が標準となりつつある。
一方で鉄道車両は高速化を迎え, FRP材料はより一層の安全性, 軽量性, 遮音性, 振動吸収性等の要求が高まっている。
フェノールコンポジットの成型も国際化が進み, オートクレープ成形, RTM成形 (RESINTRANSFER MOLDING) による大型製品の開発が活発に行われ実績化されている。又, 労務費の占める比率が高いHLU成形 (HAND LAY UP MOLDING) 等は労務費の安いアジア諸国, 中国にその拠点が移りつつある。
日本のFRPメーカーが生き残り, 更に成長していく為には開発力を向上させ, 特に製品提案能力を如何に高めていくかに掛かっていると言っても過言ではない。
抄録全体を表示