2019 年 58 巻 6 号 p. 446-453
消費生活用製品のリスク・コミュニケーションは,取り扱い説明書,警告表示,教育,啓発活動など多岐にわたる.心理学においては,警告表示を中心に知見が積み重ねられてきた.また,消費生活用製品は,リスク認知について,ハザードの発生確率よりもハザードそのものの重大性がリスク回避行動に影響する.そのため,リスク・コミュニケーションもハザード認知を高めるような手法が主として検討されてきた.本稿では,これらの手法について紹介するとともに,今後の課題として,企業が主たる情報源となる場合には,あるべきリスク・コミュニケーションが実現しない場合もあることを指摘した.