HeLa-S3細胞に,
風疹ウイルス
M33株を感染させることにより細胞変性を示すことなく, 容易に持続感染HeLa-M33細胞をうることができた. この細胞系は, 培養上清中に2-8×10
4PFU/ml, 細胞内に5-20×10
4PFU/10
7細胞, 感染中心として20-50%の一定感染状態を保ち続けている (現在, 感染後約9年, 継代数約300代). このHeLa-M33持続感染系は, RNAウイルスは勿論DNAウイルスの増殖を干渉する. このことは, この細胞系のもつ干渉能が, インターフェロンによることを暗示するが, 通常の水疱性口内炎ウイルスのPlaque reductionでみた限り, インターフェロンの活性を証明出来なかった. HeLa-M33細胞を, 正常HeLa細胞に混合すると, HeLa-M33細胞のもつ干渉能がHeLa細胞へ移入され, この過程は, アクチノマイシンDで阻害を受けた. このことは, HeLa-M33細胞による干渉現象が, インターフェロンまたは, インターフェロン様物質によることを示唆している. 一方, 中濃度のヒトβ型インターフェロンを, 持続感染系に加えても, 持続感染状態に, ほとんど影響がみられなかったこと, その他から, HeLa-M33細胞系は,
風疹ウイルス
ゲノムの細胞内存在 (後続論文参照) と, 低濃度のインターフェロンまたはインターフェロン様物質によって調整され, 一定の持続感染状態を保ち続けているものと考えられる.
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