建物周辺気流の風洞実験において, 人的物的影響の評価に適した風速の測定を行なうことを目的として, サーミスタ素子を用いた
風速計
を試作し, 風洞実験に適用した結果, 次のことが明らかとなった。1)本
風速計
の応答特性を分散の低下量を用いて示すと, 10Hzで20%, 20Hzで41%, 30Hzで56%である。2)この低下層をパワースペクトルに対して補正することにより, 変動風速の定量的な評価が, 40Hz程度までの周波数成分に対し可能である。3)本
風速計は熱線風速計
(I型プローブ)に比べ, 無指向性であるため, 地表面や建物の影響を受けた乱れの大きい気流中においては, 風速ベクトルの大きさおよびその変動をより正しく測定することができる。4)本
風速計
により測定された市街地低層部の平均風速は, 熱線
風速計
による測定結果に比べ大きく, また変動成分の大きさは, 気流の性状により熱線
風速計
による測定結果と大きく異なる。以上のことから, 本
風速計
を建物周辺気流に関する風洞実験に適用することにより, 熱線
風速計
(I型プローブ)に比べより人的物的影響の評価に適した風速の測定が可能と考えられる。なお本研究を進めるにあたり, 御助言を頂いた坂上治郎博士に, また
風速計
の製作に御努力を頂いた株式会社芝浦電子製作所に深く感謝致します。
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