今回,著者らは
骨形成不全症
に随伴して,乳歯,永久歯に象牙質形成不全症が認められた8歳7カ月の男児を経験した.象牙質形成不全症は象牙質の形成が原発的に障害される稀な遺伝的疾患で,象牙質の形成が単独に障害されるものと,
骨形成不全症
に随伴して出現するものとがある.
骨形成不全症
は造骨細胞の機能低下によっておこる遺伝性疾患で,間葉組織の系統的疾患と考えられており,本症例においても,三大徴候のうち,易骨折性,青色鞏膜が認められたが,難聴は認められなかった.また,頭蓋は超短頭型の特徴的形態を示しており,顎・歯列では上顎の劣成長と_??__??__??_の交叉咬合が認められた.歯は全乳歯,萌出永久歯においてオパール色を呈し,歯髄腔はほとんど消失していた.さらに歯頸部の狭窄が強く,歯根は比較的短かかった.抜去乳歯の病理組織学的検索から以下の所見を得た.エナメル質,mantle dentineは正常構造を示していた.しかし,mantle dentineと髄周象牙質の問にコラーゲン線維が象牙質表層に配列し,この部位からエナメル質の部分的剥離がなされていた.また,髄周象牙質には明らかな層板構造が認められ,象牙細管などは不正な配列をなしていた.さらに象牙質中央部は,多数の封入体が存在し,その中央部は軟組織様構造物が認められた.
臨床的,X線的,病理組織的所見から,本症例はShieldsらの分類による象牙質形成不全症Type 1と診断した.
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