本稿は,介護の技能実習生と参加型アクションリサーチを行う過程で派生した振り返り記録を書く活動について,パウロ・フレイレによる「対話」と「意識化」の視座から報告するものである。外国人技能実習制度に介護職が追加されて5年目を迎えるが,実習生が書くことに関しては受入れ側と実習生双方が業務上の負担や困難を抱えている。筆者は,コロナ禍に介護現場で実習生と彼女らを支える人々とともに参加型アクションリサーチを開始した。本実践研究は,その過程において実習生の一人が提起して他の参加者と協働で創生された書く活動を指す。データを総合的に分析した結果,パウロ・フレイレによる「対話」と「意識化」の概念が浮かび上がった。本稿ではそれらの視座から本実践研究の成果と課題について論じ,得られた知見を示唆として考察を加えた。その上で,外国人介護人材への日本語教育における内容と言語の統合に向けて試論を提起した。
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