2010年度の発表「科学リテラシーの観点から「科学教育と科学史」を再考する」においては,『21世紀科学』をはじめとする近年の英米の代表的な教科書を検討し,従来型の「体系重視」から,「文脈・脈絡(コンテクスト)重視」への移行を指摘した.また、それ自体は英米の事例をもとに書かれていたため,日本独自の教科書やカリキュラム開発の必要性を主張した.その後東日本大震災を経験した日本は,本当の意味での科学への「信頼の危機」を経験し,現在では,とりわけ放射線教育において新たなる教材の試みが求められている.本発表では,福島視察と科学史の知見を活用した新たなる放射線教育の事例を提示するが,そのことにより科学史,STS,そして科学コミュニケーションを包含する「科学論」の知見が重要な役回りを果たすことを中等教育と高等教育,それぞれの事例を通して明らかにする.
抄録全体を表示