166種の野生キノコの遊離アミノ酸を分析した.総遊離アミノ酸はツブカラカサタケ(949.83μmol),ウスキモリノカサ(766.66μmol)などが高含量であり,ハナビラニカワタケ(20.3μmol)などは低含量であった.タンパク性アミノ酸ではアラニン,グルタミン酸,グルタミンが多く,メチオニン,シスチン,トリプトファンは低含量であった.非タンパク性アミノ酸ではオルニチンγ-アミノ酪酸が高含量であり,3-メチルヒスチジンなどは低含量であった.我々が以前報告した遊離アミノ酸のデータと今回のデータを合わせ,統計処理を行ったところ,ハラタケ科は他の科と比較して5%の有意差で総アミノ酸が多く,キシメジ科は2番目であった.またハラタケ科のアスパラギン酸,セリン,アスパラギン,グルタミン酸,グルタミン,プロリン,アラニン,ロイシン,リジン,オルニチンは5%の有意差で高含量であった.キノコの主要な遊離アミノ酸はアラニン,グルタミン,グルタミン酸であり,総遊離アミノ酸の30.1〜43.8を占めていた.遊離アミノ酸のパターン類似率はほとんどの科で0.9以上であったが,一部の科の問では0.8以下であり,特にとトヨタケ科は他とは異なったアミノ酸組成であった.
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