鳥胚の細胞学的性判別および性比の研究は,ニワトリおよびニワトリとウズラの雑種について行なわれているが,ウズラについてはまだ行なわれていない。本研究では孵卵開始約16時間の胚の染色体標本を作製し,性染色体により性を決定し,性比を求めた。
孵卵約16時間後に,胚盤付近にコルセミドを注射し,4時間後に胚盤を摘出。自然乾燥法,または火炎乾燥法により染色体標本を作製。ギムザ染色後,検鏡。1個体につき,78本の染色体を有する中期核板を5個以上観察し,更に2,3個の中期核板を写真撮影し,性判別に供した。性染色体のうち,Z染色体は4番目に大きな中部着糸型であり,W染色体はNo.5の常染色体とほぼ同じ大きさの次端部着糸型であった。染色体の展開および収縮が適度な中期核板では,W染色体はNo.5の端部着糸型染色体と明確に区別し得たが,通常の標本では両者の区別がつかない場合もあった。本研究では,Z染色体が2個あるものを雄,Z染色体1個とNo.5の大きさの染色体が3個(そのうちの1個はW染色体)あるものを雌と判定した。性判別は,2人の観察者が別個に行ない,それぞれの判定結果が一致するものについて性を決定した。標本を作製した胚子は305個,そのうち297個(97.4%)で最低1個の分裂像が見られた。これらのうち最低5個の分析可能な中期核板を示し,性判別が可能であったものは274個(89.8%)であった。判別結果は雄138個,雌136個,性比は50.4%であり,有意な偏りは見られなかった。
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