新学習指導要領の理科において,中学校でこれまで全ての生徒が学習してきた基礎的な学習内容の多くが,高等学校に移行した。高等学校での物理分野の履修率減少を考えると,物理分野の基礎的な部分の習得が危ぶまれる。このことをふまえると,中等教育段階での物理教育のありかたについて再検討する必要がある。他方,イギリスでは,英国物理学会によって独自に新しい高等学校の物理教育コースが開発された。このコースは,現代的な内容を大幅に取り入れ,日常生活の現象を多く含み,楽しみながら理解を深めるものとなっている。日本の物理教育が十分に展開していない内容と方法を含んでいることから,その内容を日本の高等学校の教科書との比較において検討した。このことを通して,今後の日本におけるける物理教育の方向性を見出す手がかりとしたい。
抄録全体を表示