オーサガリゴケモドキ (Meteoriopsis squarrosa (HOOK.) FLEISCH.) - 新産地として琉球.大隅屋久島産の報告があるが疑はしい. ヒメハミズゴケ (Rhacelopodopsis Camusi THER.) - 奄美大島名瀬にて新屬新種とされて以來,最近臺灣臺北産が野口氏にて報告されたのみである.第三番目の發見. ヒラツボゴケ (Glossadelphus lingulatus (CARD.) FLEISCH.) - 第二番目の發見である.大變面白い植物である.原標本と共に殘念ながら子嚢が無い.子嚢の發見がまたれる.和名は從來飯柴永吉氏の著,日本蘚類總説によつてゐる.之によると本植物はタカサゴイチイゴケモドキとあり惡名也.屬名を有する種類がないので,且つヒラツボゴケ屬,少くとも Anastigma 節を代表する植物故,之にヒラツボゴケの和名を用ひたいと思ふ. オシマハヒゴケ (Ectropotheeium Ohsimense CARD, et THER.) - 葉細胞端に乳頭がある種類.規則正しい分枝,鎌形に曲つた葉とは Hypnum のあるものを思はする美麗なる植物である.THERIOT の所より入手されし原標本を野口氏の厚情により拝見さして貰つたが,之は九州各地に産する E. kiusiuense BROTH. と同植物であることが判明した.原標本の圖と記載を示しておく.同株,雄花ハ芽状,内雄花葉ハ卵形,急ニ短ク針状,全縁,雄器ハ約5,約0.18mm.長,小數ノ毛葉混在ス.植物體ハ小,緑色,光澤アリ,時ニ褪色シテ黄色絹色,密ニ平ク石上,朽木上ニ群落ヲナス.莖ハ規則正シク羽状ニ分枝,羽枝ハ同長3-5mm.,莖枝共ニ密ニ葉ヲツク.莖,枝葉同形披針状,鎌形,背葉ハ鎌形度小,約1.1mm. ニ達シ幅0.25mm. 肋ナシ,鋸齒上部ニ明.細胞薄膜,線状,幅4-5μ,10-12倍長,細胞上端乳頭トナル,古葉ニハ細胞乳頭不明瞭,翼細胞分化セズ.雌花多數,假根多シ,雌花葉ハ鞘状ノ基ヨリ漸尖,長クトガル,約1.6mm. ,鋸齒ナシ.子嚢柄ハ約8mm. 爪状ニ先端曲ル.首アル子嚢水平懸垂,乾ケバ口下ニ狹クナル,1mm. 長.子嚢壁細胞ハ薄膜,多少厚角,圓シ,約0.03mm.,口輪不發達.外齒ハ黄色,下部ハ赤褐色,廣キ透明舷アリ,齒尖小乳頭アリ,約0.27mm. 高サ,下部0.07mm. 幅,内齒ハ黄色,突齒ハ小乳頭アリ,小孔アリ,間毛不完全.胞子ハ約15μ大.
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