ブラック企業問題や第一次年金不安等,近年は働くことをめぐる不安が増加している。これに対応するため,愛知県社会保険労務士会は愛知県内の各学校に対し,労働・社会保険の講義を提供することで若年層が自らの働き方について学び,考える機会を提供するための活動を行ってきた。しかし,労働教育の意義を教育機関に説明し,講義を導入してもらうのは容易なことではない。愛知県内でも導入した学校は極めて少数に留まる。また,限られた時間内で子供たちに伝えられることはかなり限られている。勤務生活の中で労働について学ぶ機会が少なくなった現在,学校における労働教育の重要性は高まっていると言える。本報告では,このような現実を踏まえ,実務家の行う労働教育の意義と問題点を整理し,労働現場において現実に生じている問題を踏まえつつ,今後の労働教育の課題について考察する。
抄録全体を表示