慢性呼吸器疾患患者における夜間酸素飽和度低下 (nocturnal oxygen desaturation) について, その頻度や程度及び肺機能所見との相関を, びまん性汎細気管支炎 (以下DPB) を対象として検討した. 症例は, 20例 (男15女5) であり, 年齢51±15歳, Pao
2 59±9Torr, Paco
2 43±6Torr, %VC: 64±11%, FEV
1.0%: 43±11%である. 方法は就寝時から起床時まで経皮Sao
2モニターを行い, 入眠後安定した Sao
2 level から5%以上の低下を desaturation とした. なお全例中3例は脳波記録をも行った. 20例中10例に desaturation を認め (desaturated group: D群), 残りは5%未満の desaturation (non-desaturated group: ND群) であり, 2群の性別, 年齢, 体重, %VC, FEV
1.0%, RV/TLC%の間には有意差を認めなかったが, 覚醒時Pao
2はD群, ND群各々, 53±7, 66±6Torrで, 有意差があり, かつ心電図上前者により右室肥大傾向が強かった. なお3例の脳波所見は, いずれも約20~40%の一時覚醒はあるが, REM期を有する睡眠脳波であった. さらにD群はO
2吸入により desaturation は著明に改善し, desaturated group に対する夜間酸素療法の有用性が示された.
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