FK037の抗菌力ならびに複雑性尿路感染症に対する有用性について検討を行った。
1) 尿路感染症分離株14菌種211株に対するFK037のMICを測定し, ceftazidime (CAZ), cefoperazone (CPZ) およびimipenem (IPM) と比較した。グラム陽性菌に対してはIPMには劣るものの, CAZ, CPZ より強い抗菌力を示した。グラム陰性菌の
Escherichia coli,
Klebsiella pneumoniae,
Proteus mivabilis,
Serratia marcescensに対してはIPMとほぼ同等またはそれ以上の抗菌力を示し, CAZ, CPZより強い抗菌力を示した。
Pseudomonas aeruginosaに対してはIPMには劣るものの, CAZとほぼ同等, CPZより優れた抗菌力を示した。
2) 複雑性尿路感染症17例を対象に, 本剤を1回0.25~2.0gを1日2回, 5日間連続点滴静注し, 臨床的有用性を検討した。
UTI薬効評価基準により評価可能であった12例の総合臨床効果は, 著効3例, 有効6例, 無効3例で, 有効率は75.0%であった。細菌学的効果では20株中18株が消失し, 除菌率は90.0%であった。副作用として1例に発疹を認めたが一過性のものであった。臨床検査値異常変動は1例に好酸球増多を認めたが, 軽度であり投与終了後5日目に正常化した。
以上の成績より, 本剤の尿路感染症に対する有用性が示唆された。
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