てんかんの診断により運転免許の取得や更新が制限されるため、運転免許所持可能年齢の患者にとっては生活への影響が大きい。てんかんと運転免許に関するインターネットを介した情報収集手段を検討することを目的に、当院ホームページ上のてんかんと運転免許に関する解説記事の公開から1年間の検索およびアクセスログを解析した。記事へのアクセスは男性51.5%、女性48.5%とやや男性に多く、年齢別では25歳~44歳で53.7%と半数以上を占め、地域別には大都市圏からのアクセスが上位であった。検索クエリの分析では、「隠して」、「申告しない」、「ばれる」、「虚偽申告」を含む検索の合計は表示回数13,193回(全表示回数の7.3%)、クリック率は7.7%と高値であった。本検討により、虚偽申告に関連したクエリによる検索が多いことが示された。虚偽申告による事故防止のためにも正しい情報を患者に提供する必要がある一方で、代替移動手段の提供が望まれる。
環状14番染色体症候群の患者家族会 「かみひこうきの会」 に登録されている6名に関して, 患者家族の同意を得てアンケートを行った. 全例が発達遅滞と乳児期発症の難治性てんかんを有し, 多剤併用療法を要していた. 重症度は症例間で差を認め, 頻度の高い合併症としては中耳炎, 低身長, 小頭症を半数に認めた. 非特異的な症状のみであっても乳児期発症の難治性てんかんには本症を念頭に染色体検査の実施が望ましい.
てんかん患者はウィークネスのみならずストレングスも抱え子育てに取り組んでいるという仮説のもと、子育て経験のある成人てんかん患者を対象に質問紙調査を行った。有効回答者数は全10名で、うち男性が4名(40%)、年齢は33~64歳(中央値43.5歳)であった。回答者の30%に育児協力者が不在であり、育児協力者のほとんどは配偶者であった。配偶者のない回答者は育児協力者も不在であった。子の数は全例3人以下で、60%は子の数が1人であった。自由記述回答の分析では、予期せぬ発作を抱えての子育てや子どもの安全確保に対する不安等のウィークネスを抱えていることがわかり、支援者は見通しを示しながら支援することが求められている一方で、当事者としててんかんへの知識を有するがゆえのストレングスがあることもわかった。また、男性からの回答では自動車運転に関する回答が得られ、移動手段への支援が重要であると考えられた。
チョウセンアサガオ中毒の夫婦例を報告する.症例1は71歳の女性.意識障害で救急入院した.散瞳,口渇,頻脈,高血圧などの抗コリン徴候を示した.瞳孔は左右不同を示し,脳内局在病変を疑ったが,異常なく原因不明の急性脳症で経過観察.症例2は68歳の夫.翌日に同様の意識障害で救急入院.軽度散瞳を示し,類似の症状のため,病歴再聴取し,チョウセンアサガオの根をゴボウと誤食したことが判明した.本症は散瞳を伴う意識障害が特徴の急性脳症であるが,瞳孔不同あるいは軽度の散瞳の場合,診断に迷う.家族内発症が診断の糸口であった.重症例では全身痙攣,錐体路徴候を呈し,死亡例も報告され,神経救急疾患として重要である.
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