膜の荷電がゼロで電気浸透度のまったくない新しいセ・ア膜『SEPARAX-SP (
nSP
)』での健常者の血清蛋白分画の基準値を設定した. 支持体の電気浸透度, 塗布位置や膜構造の均質性などの物性が変わったことにより, その基準値は, 塗布点がγ分画の中央にある Sartorius (SR) 膜での値と類似の結果であったが, α
2とβ分画には相違があった. 一方, SEPARAX (SP)膜とはすべての分画で異なった値を示した. この原因として, βリポ蛋白質がSP膜よりブロードな分布をとることと,
nSP
膜の血清塗布位置がγ分画をはずれた陰極側になったため, albなどの先行蛋白の吸着による影響の可能性が波形解析データから示唆された. 新しい
nSP
膜による血清蛋白分画値は, 自動機法や用手法などの測定方法による差はほとんどなく, SP膜で指摘されていた問題点も改善され, 日常検査への適用は有用と思われた.
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