フリージア種子の発芽特性, 発芽に及ぼす化学物質の効果ならび温度処理に伴うタンパクレベルでの代謝変化について検討した.
1.フリージア'ロイヤルクラウン'の種子の発芽適温は15°~20°Cであり, 30°Cではまったく発芽しなかった. 20°Cで発芽直前の種子であっても30°Cに移されると, その発芽は完全に阻害された. 20°Cで発芽前の種子を30°Cの温度に遭遇させ再び20°Cに戻した場合, 可逆的に発芽を開始したが, 30°C遭遇時間が長くなるにつれて発芽に要する日数が長くなった. 30°C遭遇日数が4日以上では, その日数に関係無く20°Cでの発芽所要日数は約6日で一定していた. 一旦発芽すれば, 高温による生長阻害はみられず, 発芽後の生長は25°Cが最もよかった.
2.生長調節物質のGA3, BA, ゼアチンおよび濃硫酸処理によっても30°Cでの発芽は誘導できないが,濃硫酸の10分間処理は20°Cでの発芽を促進し, 発芽の斉一性において優れた.
3.未発芽種子の胚を摘出して無菌培養すると根は30°Cでよく伸長し, その伸長速度は20°Cより30°Cの方がはやかった.
4.種子を20°Cと30°Cに置くと胚の電気泳動パターンに違いが生じたが, 胚乳においては違いは認められなかった. 14C-ロイシンの総取り込みおよび24%トリクロロ酢酸不溶性画分 (タンパク画分) への取り剤込みは胚, 胚乳とも30°Cの方が低かった. 特に胚乳において30°C•24時間後の総取り込みの低下が著しかった.
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