J-STAGE25周年記念セミナー「学術情報流通のこれからを見据えて」



開催趣旨

 J-STAGEは、2024年度にサービス開始から25周年を迎えました。
 これを記念して、J-STAGE 25周年記念セミナー「学術情報流通のこれからを見据えて」を開催いたします。
 2019年度に開催したJ-STAGE 20周年記念シンポジウム以来となる実地開催です。できるだけ多くの方に会場にお越しいただき、講演者とも顔を合わせつつ活発に議論する場となることを期待しております(ご来場いただけない方のため、オンライン配信もあります)。
 本セミナーでは、J-STAGEのこれまでおよびこれからについて基調講演をいただいたあと、J-STAGE登載ジャーナルにとどまらず、日本の学術情報流通の現状や課題、およびそれらに対する様々な取り組みや今後の展望について講演をいただきます。パネルディスカッションでは、J-STAGEの将来への期待、懸念、要望などを挙げて議論します。
 現在の日本の学術情報流通において、ジャーナルは様々な課題を抱えています。本セミナーが、日本の学協会にとって、ジャーナル出版に関する課題の解決につながる戦略検討の手助けとなれば幸いです。J-STAGE利用機関、ジャーナルの関係者に限らず、研究者、図書館関係者等、学術情報流通に関心のあるすべての皆様のご来場、ご参加をお待ちしております。


開催概要

【日時】2025年2月7日(金) 13:00-17:20(開場:12:30~)

【開催形態】ハイブリッド形式
  会場:JST東京本部別館(K’s五番町)1階ホール
    オンライン配信(同時配信):Zoomウェビナー

【参加方法】事前申込制(無料)
  申し込みフォーム: セミナー参加申し込みフォーム(外部サイト)
   ・申込時点での参加方法(現地/オンライン)をご回答ください。どちらを回答いただいても、両方の参加方法の案内をお送りいたします。
   ・お申し込みが完了すると受付完了メールが送信されます。
   ・開催の約1週間前に、オンライン参加のURLを記載したメールをお送りいたします。
   ※定員に達し次第締め切ります。

【プログラム】(敬称略)

12:30 開場
13:00-13:25 オープニング
●Session1:J-STAGEの25周年とこれから
13:25-14:10

【基調講演】「J-STAGEの誕生と当時の視点」

五神 真(国立研究開発法人理化学研究所 理事長)
14:10-14:20 J-STAGE中長期戦略改定について(JST)
● Session2:日本の学術情報流通の課題と展望
【講演 ※各講演の最後に質疑応答あり(現地参加優先)】
14:30-15:05

研究者が求める学術情報流通 ー 誰に拠る,誰の為の,何の為の活動か ー

引原 隆士(京都大学理事(情報基盤・図書館担当)・副学長)
 2025年度から始まる公的資金助成による研究論文およびその根拠データの OA義務化は、改めて研究者に研究活動とは何かを考えさせる機会となっている。公的資金を受ける研究活動自体が、社会から付託された活動であるという認識に立ったとき、主客転倒した研究成果にまつわる学術情報流通システムの課題が浮き彫りになる。本講演は、主体となる研究者が求める学術情報流通とはなにかについて整理し、ステークホルダーである学協会、ジャーナル、研究機関、研究助成機関を含め、学術全体を俯瞰した展望について述べるものである。
15:05-15:35

オープンサイエンスの推進と電子ジャーナル問題:知のインフラ整備をどうするか?

大隅 典子(東北大学副学長・附属図書館長)
 1999年の創設以来、J-STAGEは、重要な電子ジャーナルプラットフォームとして機能し、日本の学会誌等のオープンアクセスの推進、データの標準化やデータ交換技術の導入など、多くの技術的・運用的な革新を実現してきた。近年、デジタル化の進展、研究データの共有化、それらを基盤としたオープンサイエンスの潮流が、学術出版の在り方に新たな課題と機会をもたらしている。本講演では、J-STAGEで公開されている東北医学会雑誌(TJEM)を取り上げ、オープンアクセスの意義や、サステナブルな学術情報流通の未来像について議論したい。
15:35-16:05

日本地球惑星科学連合と参加学協会が共同で創刊,発展させた国際誌Progress in Earth and Planetary Science

川幡 穂高(早稲田大学大学院創造理工学研究科 客員教授)
 約50の関連学協会、1万人の会員とともに地球惑星科学に関する学問を発展させるため日本地球惑星科学連合が発足して30年となる。「学術誌の刊行」は、「年会の開催」とともに学会活動の2つの柱である。①国際的な一流誌を刊行するため、②それから財政的に十分な収入を得るため2014年に学術誌PEPSを創刊した。PEPSのIF、CiteScoreなどのジャーナル評価指標は、アメリカやヨーロッパの連合の学術誌と同等レベルまで到達した。今後は、出版数、海外の著者数、学術刊行による収入の増加が大きな課題となる。
16:05-16:35

論文査読の問題点と新しい試み

水島 昇(東京大学大学院医学系研究科 教授)
 現在の査読システムには、著者、査読者、エディター、研究コミュニティーにとってさまざまな課題が存在する。正確で信頼性のある論文を出版することは重要であるが、一方で、査読者からの過剰な要求のために、膨大な時間、労力、費用が費やされている現状には問題が多い。最近、生命科学系のeLife誌は、従来の受理・却下による二者択一的な判定を廃止し、査読者による段階的ニュアンスを含んだ評価コメントの公開や、論文の改訂内容や出版時期を著者がコントロールできる方式を採用して議論を呼んでいる。講演では、論文の評価、公開、出版の在り方について議論したい。
【ディスカッション】
16:45-17:15

パネルディスカッション

モデレーター:土屋 俊(千葉大学名誉教授)
 招待講演者の方々による学術情報流通に関わる大所高所からの、あるいは実践に基づく講演を受けて、本パネルディスカッションでは、J-STAGEが25周年を迎えたことに立ち返り、各パネリストがJ-STAGEの将来について、講演の趣旨を踏まえてどのような意見をお持ちであるかを明らかにしていただきたいと考えている。多岐にわたる観点が示されることになるが、そこで示される期待、懸念、要望は、J-STAGEにとっても、またJ-STAGEによって学術的出版活動を行う刊行主体にとっても貴重な思考の糧となるであろう。
17:15-17:20 クロージング

お問い合わせ先

国立研究開発法人科学技術振興機構
情報基盤事業部 J-STAGE 25周年記念セミナー事務局
jstage-gakkai(at)jst.go.jp
※(at)は@に読み替えてご利用ください。


関連情報

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2020年2月13日に開催したシンポジウムの特設ページです。講演資料等を掲載しています。

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2024年9月10日に開催した第2024年度1回J-STAGEセミナー「新たなJ-STAGE中長期戦略により目指す未来とジャーナルの取り組み」の資料と講演動画です。

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