以下のFAQでも解決しない場合は、お名前、所属等をご記入の上、jstage-gakkai@jst.go.jpまでお問い合わせください。
よくあるご質問
FAQページ内の検索は、リストをすべて開いた後に、ブラウザの検索機能(CTRL+F)をご利用下さい。
-
オープンアクセス
-
オープンアクセスとは何ですか?
-
オープンアクセスの定義として国際的に広く用いられているブダペスト・オープンアクセス・イニシアティブ(BOAI、2002)においては、「公衆に開かれたインターネット上において、無料で利用可能であり、閲覧、ダウンロード、コピー、配布、印刷、検索、論文フルテキストへのリンク、インデクシングのためのクローリング、ソフトウェアへデータとして取り込み、その他合法的目的のための利用が(中略)財政的、法的または技術的な障壁なしに誰もが許可されること」とされており、単にインターネット上で無料で閲覧できるだけでなく、ダウンロード、コピー、配布、印刷、検索といった二次利用が可能なことまでが含まれる。また、J-STAGEにおいては、「インターネット上に論文等を無料公開し、二次的利用の範囲に関するライセンス情報を明記することで、誰もが障壁なく閲覧・利用できることをいいます」と定義している。
-
「オープンアクセス」と「オープンアクセス誌」の違いは何ですか?
-
学術論文を「オープンアクセス」にするには、著者自身が著者最終稿を機関リポジトリなどから公開するグリーンオープンアクセスと、論文を「オープンアクセス誌」に投稿し出版するゴールドオープンアクセスがある。つまり「オープンアクセス」には大きく分けて、機関リポジトリによるものと、「オープンアクセス誌」によるものがある。オープンアクセス誌に従来の購読料はなく、多くの場合、論文の著者は APC (論文掲載料)の負担を求められる。また、「オープンアクセス誌」に掲載されている論文はすべて「オープンアクセス」だが、オープンアクセス論文と非オープンアクセス論文の混在するハイブリッドオープンアクセス誌や、オープンアクセス誌ではないものの一定の期間ののちに論文がオープンアクセスになるようなジャーナルもある。
-
オープンアクセス誌となるための条件は何ですか?
-
すべての論文が出版と同時に以下の条件を満たしている必要がある。
・インターネット上で無料で閲覧できる
・クリエイティブ・コモンズ ライセンス(CCライセンス)などの付与により二次利用の範囲・条件が明示されている
さらに、オープンアクセス誌として必要な項目・内容(オープンアクセス誌であるとの宣言、APC (論文掲載料)など著者の負担)を投稿規程に明記し、ウェブサイトにて公開する必要がある。 -
ハイブリッドオープンアクセス誌とは何ですか?
-
有料の購読誌であるが、著者が APC を支払うことにより、その論文についてオープンアクセスにできるようなジャーナルをハイブリッドオープンアクセス誌とよぶ。つまり、ハイブリッドオープンアクセス誌ではオープンアクセス論文と非オープンアクセス論文が混在している。現在、海外の大手出版社が発行している購読誌のほとんどはハイブリッドオープンアクセス誌となっている。
-
ダイヤモンドオープンアクセスとは何ですか?
-
オープンアクセス誌によるゴールドオープンアクセスのうち、論文の著者が APC (論文掲載料)などの費用の負担を求められないものを特に「ダイヤモンドオープンアクセス」あるいは「プラチナオープンアクセス」とよぶ。
-
エンバーゴとは何ですか?
-
出版の直後は購読者あるいは学会員など一部のみが閲覧可能であるが、出版から一定期間(6ヶ月~2年程度)が経過したのち無料公開するような場合、この閲覧制限のこと、あるいは、この閲覧制限期間のことをエンバーゴ(公開猶予)とよぶ。
-
エンバーゴを適用しているジャーナルはオープンアクセス誌とはみなされないのですか?
-
エンバーゴを適用しているジャーナルはオープンアクセス誌とはみなされない。J-STAGEではすべての論文がエンバーゴなしに即時オープンアクセスで公開されるジャーナルをオープンアクセス誌としており、出版から一定の期間は認証がかかっていて一部のみが閲覧可能なジャーナル、また、出版から一定の期間が経過したのちにJ-STAGEに登載し無料公開するようなジャーナルはオープンアクセス誌とはしていない。ブダペスト・オープンアクセス・イニシアティブ、また、オープンアクセス誌のベンチマークであるDOAJ(Directory of Open Access Journals)の収載要件も同様である。
-
オープンアクセス誌にするメリットとして、どんなことが考えられますか?
-
おもなメリットとして以下が考えられる。
・近年、国内外で急速に進んでいるオープンアクセス義務づけへの対応
・無料で閲覧できることから、多くの読者にみてもらえる
・ひろく利用され、利用されやすい。二次利用の範囲・条件が明示されているため、利用者として二次利用がしやすく、また、著作権者の意にそわない二次利用が起こりにくい
・論文の閲覧数、ダウンロード数、被引用数などが増加する
・複製・転載・翻訳などの二次利用に関する対応が軽減される -
日本でもオープンアクセス義務づけが進んでいるのでしょうか?
-
2024年2月16日に統合イノベーション戦略推進会議決定として「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」が発表され、そこでは「公的資金のうち2025年度から新たに公募を行う即時オープンアクセスの対象となる競争的研究費を受給する者(法人を含む)に対し、該当する競争的研究費による学術論文及び根拠データの学術雑誌への掲載後、即時に機関リポジトリ等の情報基盤への掲載を義務づける」とされている。
-
即時オープンアクセスへの対応として、ジャーナルは何をする必要がありますか?
-
機関リポジトリなどへの掲載(グリーンオープンアクセス)に対応するため、機関リポジトリへの著者自身による著者最終稿の登載・公開を出版ののち即時 (エンバーゴ期間なしで) 許諾するものとし、そのむね投稿規程に明記する必要がある。そのうえで、オープンアクセス誌化(ゴールドオープンアクセス)についても検討してほしい。
-
それまで非オープンアクセス誌として出版されていたジャーナルがオープンアクセス誌に転換するには、すでに出版・公開されている論文についてもオープンアクセス論文とする必要がありますか?
-
もちろん、すでに出版・公開されている論文すべてをオープンアクセス論文とすることが望ましいが、現実には困難なことが多い。実際には、オープンアクセス誌に転換するにあたり、すでに出版・公開されている論文についてオープンアクセス論文とする必要はなく、オープンアクセス誌となった以降に出版・公開される論文すべてがオープンアクセス論文となっていればよい。オープンアクセス誌になったのち1年が経過すれば(あるいは、オープンアクセス論文が5本出版されれば)DOAJの申請も可能。
-
ある時点からオープンアクセス誌に転換した場合、オープンアクセス論文と非オープンアクセス論文が混在することになりますが、J-STAGEにおいてオープンアクセスの表示をしてもよいですか?
-
現時点でオープンアクセス誌なら、J-STAGEの資料トップページにオープンアクセスの表示をして差し支えない。ただし、投稿規程やジャーナルウェブサイトに「○○年○月よりオープンアクセス誌」と明記することが望ましい。
-
J-STAGEにおいて資料トップページ・書誌ページにオープンアクセスの表示をするのに、なにか申請などが必要ですか?
-
J-STAGEにおけるオープンアクセス誌の要件・定義を満たしていれば、とくに申請などは必要なく発行機関で表示設定が可能。
-
オープンアクセスを推進しているJ-STAGEの具体的な取り組みあるいはサポートにはどんなことがありますか?
-
ポリシー:J-STAGE利用規約において「オープンアクセスに積極的に取り組めること」を利用の条件としている。
システムの改善:オープンアクセスアイコンやCCライセンスの表示機能を実装。
ジャーナルコンサルティング:海外のコンサルタントによるコンサルティングを実施し、オープンアクセス誌への転換に対応する投稿規程の改訂を支援するコース、運営戦略と分析を伴ったオープンアクセス誌への転換を支援するコースを提供。
セミナー:オープンアクセスにかかわる基礎的な情報を提供する基礎セミナー、オープンアクセス誌化の実践的な手順を解説する実践セミナーを開催。
情報提供:ウェブサイトにおけるオープンアクセス誌化に役立つ情報・ドキュメントなどの提供。
-
-
CCライセンス
-
クリエイティブ・コモンズ ライセンス(CCライセンス)とはなんですか?
-
著作権者が 「この条件を守りさえすれば、著作権者に許諾を得ることなく著作物を二次利用してかまいません」 という意思表示をするもので、インターネット時代のための新しい著作権ルールといわれている。著作権者は著作権を保持したまま著作物を自由に流通させることができ、利用者はライセンスの範囲内で複製・転載・翻訳などの二次利用ができる。CCライセンスは、学術論文のオープンアクセス化におけるライセンスとして世界的にデファクト・スタンダードとなっている。詳細はクリエイティブ・コモンズ ジャパンのウェブサイト https://creativecommons.jp/ を参照。
-
それぞれのCCライセンスの特徴・違いは?
-
4つの要素の組み合わせからなる6種類のCCライセンスがあり、その詳細はクリエイティブ・コモンズ ジャパンのウェブサイト https://creativecommons.jp/licenses/ を参照。
-
CCライセンスの付与にあたり必要な手続き・申請などはありますか?
-
クリエイティブ・コモンズ(ジャパン)などへの申請や通知など手続きはいっさいなく、著作権者の意思により付与できる。
-
CCライセンスを変更あるいは取り消すことはできますか?
-
いったん付与されたCCライセンスを変更したり取り消したりすることはできない。著作権者が変わっても、それ以前のCCライセンスは有効で変えることはできない。
-
すでに出版・公開されている論文に対しCCライセンスを付与することはできますか?
-
CCライセンスを付与できるのは著作権者であるため、著作権者が学協会・ジャーナルであれば可能だが、その場合も、なんらかのかたちで著者に周知することが望ましいと考えている。著作権者が著者である場合は、個々の著者自身がCCライセンスを付与するというかたちをとる必要がある。
-
同じジャーナルにおいて論文ごとに異なる種類のCCライセンスを付与することはできますか?
-
CCライセンスは著作物に付与される、つまり論文ごとに付与することができるので、同じジャーナルにおいて論文ごとに異なる種類のCCライセンスを付与することは可能。どのCCライセンスが付与されうるのかは投稿規程に明記する必要がある。
-
CCライセンスはどこに表示する必要がありますか?
-
J-STAGEのウェブサイトにおいて、それぞれの論文の書誌ページに表示し、さらに論文の本文 (論文PDF)にも表示する必要がある。クリエイティブ・コモンズの提供するHTMLコードを埋め込んだアイコン(クリエイティブ・コモンズ ジャパンのウェブサイトから入手可能)と文字表記の両方を表示することが望ましい。
-
CCライセンスを付与したのちも著作権収入を維持する方法はありますか?
-
NCを含むCCライセンスを付与することにより、営利目的での二次利用(転載など)についてはライセンスの範囲外となり利用者は著作権者に対し事前の許諾が必要となるため、その結果として複製使用料・転載許諾料などを請求することは可能になる。
-
著作権管理団体と契約していますが、CCライセンスを付与することでなにか変更すべきことはありますか?
-
CCライセンスの付与により著作権者の許諾を必要としない二次利用の範囲が大きく広がるため、著作権処理は不要になるあるいは軽減される。そのため、以後も著作権管理団体との契約を継続するか検討するとよい。
-
研究助成機関のCCライセンスの適用方針とは何ですか?
-
たとえば、欧州の研究助成機関から構成されるcOAlition Sが進めているPlan Sは基本的にCC BYもしくはCC BY-SAでのオープンアクセスを求めており、そういった研究助成機関からの資金による成果論文の投稿を考えるのなら、求められるCCライセンスの付与を可能とする必要がある。
-
CCライセンスにおいて、一部のみの利用は改変にあたりますか?
-
コンテンツの一部をそのまま二次利用することは改変にはあたらず、NDを含むCCライセンスの付与されたコンテンツであってもその一部の二次利用に著作権者の許諾は不要。
-
CCライセンスにおいて、翻訳は改変にあたりますか?
-
翻訳は改変にあたるとされており、NDを含むCCライセンスの付与されたコンテンツを翻訳して二次利用するには著作権者の許諾が必要。
-
CC BY-NC-NDの付与により営利目的の二次利用については転載許諾料を請求することを想定していますが、営利と非営利の境界はどのようになりますか?
-
じつは、この質問に明確な回答はない。クリエイティブ・コモンズ ジャパンのWebサイト(FAQ)には、つぎのように書かれている。
-----
「NC(非営利)」アイコンのついている作品を使用しても良いですか?
何が「営利」で何が「非営利」かは、最終的には裁判所の解釈によって定まりますので、残念ながらクリエイティブ・コモンズ・ジャパンではお答えすることができません。
例えば、対価をとって販売し利益を得ている場合には、営利活動といえるでしょう。また、NPO法人やボランティア団体、学校法人などが何らの収入を得ずに行っている利用は、非営利といえるでしょう。しかし、この間にある沢山の境界事例では、何が営利で何が営利ではないのか、という判断は大変難しく、国によっても異なり、同じ国でも事例によっても異なる可能性があるため、専門的な法律アドバイスが必要になってしまう場合があります。クリエイティブ・コモンズでは、この点が明確になるよう国際的に議論を続けているところです。
(略)
-----
したがって、JSTとしても明確に回答することはできない。それぞれの学協会・ジャーナルにおいて判断されたい。 -
CCライセンスに法的な効力はありますか?
-
CCライセンスは日本の著作権法その他の法律に基づいており、原則としては法律的な拘束力がある。
-
付与したCCライセンスが許諾していないような二次利用があった場合、著作権者から対応することはできますか?
-
ライセンス違反ということで、当事者のあいだで解決を図ることになり、クリエイティブ・コモンズやJSTが介入することはない。
-
オープンアクセスのためにはライセンス情報の明記が必要とのことですが、CCライセンス以外のライセンスあるいは表示でもよいのでしょうか?
-
CCライセンスと同等のライセンスあるいは表示を用いてもよく、CCライセンスが必須というわけではない。ただし、CCライセンスは学術論文のオープンアクセス化におけるライセンスとして世界的にデファクト・スタンダードとなっており、最も手間のかからない手段といえる。
-
-
DOAJ
-
DOAJ(Directory of Open Access Journals) とは何ですか?
-
DOAJは、国際的に認知された基準を満たす高品質の学術ジャーナルおよびその論文のメタデータを、言語や地域、分野を問わず収録している、オープンアクセス誌のオンライン・ディレクトリ・サービスである。収録ジャーナルの認知度、アクセシビリティ、評判、利用を高めることを目的に運営されている。DOAJのウェブサイトはすべて無料で閲覧可能で、コンテンツの検索やサービスを利用するためのアカウントやログイン、また費用などは必要ない。
-
DOAJの収載誌数はどれくらいですか?
-
20,000誌以上のジャーナルが収載されている。うち日本からの収載は91誌。(2024年7月25日時点)
-
DOAJへの収載対象は英文誌のみですか?
-
英文誌に限らず、あらゆる言語のジャーナルが収録対象である。現在は80の言語、134カ国のジャーナルが収録されている。(2024年7月25日時点)
-
DOAJへの申請はどのように行うのでしょうか?
-
DOAJのホームページからオンラインの申請フォーム(https://doaj.org/apply/)を通じて申請する。申請の手順や要件の詳細はGuide to Applying(https://doaj.org/apply/guide/)を参照。
※Guide to Applying 日本語ページ:
https://drive.google.com/file/d/1MDRlcc7SJnv8yOlZ1aCqbivXOZevxH4a/view -
DOAJの申請や採択に費用はかかりますか?
-
申請・収載に費用はかからず無料。
-
DOAJへの収載のためにはジャーナルすべての論文をオープンアクセス論文にする必要がありますか?
-
オープンアクセス誌に移行した以降すべての論文がオープンアクセス論文である必要があるが、それ以前の論文は非オープンアクセス論文であっても問題はない。
-
DOAJシールとは何ですか?
-
DOAJシールは、オープンアクセス出版のベストプラクティスを実践するジャーナルに対して特に授与されるもので、DOAJ収載ジャーナルの約10%がこのシールを獲得している。日本からは1誌のみ(2023年11月20日時点)。シール獲得の7つの基準については https://doaj.org/apply/seal/ を参照。
-
DOAJに収載されたのちには、どのような対応が必要でしょうか?
-
任意であるが、論文のメタデータをDOAJに収載することにより、DOAJウェブサイトからそれらを閲覧することが可能になる。ただし、ジャーナルにおいて継続的に論文のメタデータを作成し収載する必要がある。
-
DOAJに収載されたのち、これを継続していくための審査などはありますか?
-
定期的な審査などは特にないようだが、DOAJの収載基準を維持すること、また、継続して年間5本以上のオープンアクセス論文を掲載することが必要。
-
DOAJに収載されたのち、付与するCCライセンスやジャーナル方針などを変更したときにはどうすればよいですか?
-
CCライセンス、ジャーナル方針、投稿規程、編集委員の変更など重要な変更については、DOAJウェブサイトにおいてジャーナルが保持するアカウントにてログインし情報を更新する必要がある。
-