森林遺伝育種
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原著論文
グイマツ雑種F1 優良家系「クリーンラーチ」のコンテナ挿し木苗 育苗方法の開発
来田 和人今 博計石塚 航黒丸 亮
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2019 年 8 巻 1 号 p. 8-14

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抄録

グイマツ×カラマツ雑種の優良家系「クリーンラーチ」は、種子の供給量が少なく実生苗木では需要を満たせないため、挿し木苗木により植栽が行われている。しかし、現在の圃場育成の実生苗を挿し木台木に用い、ペーパーポットに挿し木する方法では挿し穂数が少ない上に挿し木苗の根が根巻きを起こし発達が悪く、増殖率が低いため、苗木不足の解消に至っていない。そこで、コンテナを用いた台木の育成と挿し木の育苗の効果を調べた。150 ccコンテナに直接播種して挿し木台木を育苗することにより、挿し穂数が従来方法の10.2 ± 4.4本/台木から18.0 ± 3.8本/台木の1.8倍になった。また、コンテナに6月に挿し木し10月末まで温室で育苗することで、根の乾燥重量は従来方法の3.3倍となり、低温馴化期間が短くても翌年の生存率はペーパーポットより12.8% 高くなり、コンテナの有効性が明らかとなった。一方で、コンテナでは挿し木苗の本数密度が高くなり根元径の成長が抑制されることから、苗木の本数密度管理が重要であることが示唆された。

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© 2019 森林遺伝育種学会

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