1988 年 30 巻 2 号 p. 346-354
私達の行っている無透視・無麻酔全人腸内視鏡検査法simpletotalcolonoscopyの有効性を評価するために検討を行った.対象は1983年4月より1987年3月までに施行された大腸内視鏡検診4,651回である.これら4,651回の検査のうち4,540回97.6%は,比較的短時間にて回盲部に到達し全大腸を観察し得た.しかし,111回2.4%はtotalcolonoscopyを失敗し注腸X線検査に変更された.回盲部到達不能の原因は,検査時における被検者の苦痛が66.7%と最も高率であった.次いでfiberscopeの長さ不足23.6%,以下大量の残便4.5%,癌性狭窄1.8%の順であった. 私達の方法は以上のような問題点は有するものの,大多数の被検者にとってはほとんど非侵襲的で,特に人間ドック等検診目的には最も適した大腸検査法と考えられた.