日本消化器内視鏡学会雑誌
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実体顕微鏡による胆管癌表層血管像の検討
神谷 順一二村 雄次早川 直和塩野谷 恵彦
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1988 年 30 巻 2 号 p. 337-345

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抄録
 経皮経肝胆道鏡検査(PTCS)において拡張・蛇行した血管(不整血管)は癌の浸潤をうけた胆管粘膜に高率かつ特徴的に認められる.この現象を解明する目的で,35例の切除標本内の胆管粘膜を実体顕微鏡下に観察した.35例の内訳は,良性疾患および胆管浸潤のない悪性腫瘍(A群13例),胆管癌(B群14例),胆管浸潤を伴う膵癌・胆嚢癌(C群8例)である.不整血管はA群では認めず,B群13例(93%)とC群6例(75%)の19例の腫瘍露出面で認めた.不整血管の直径は太いもので50~200μであった.不整血管の分布は,全体型,辺縁型,中心型の3型に分けられ,PTCSで容易に不整血管を認識できる全体型と辺縁型は16例(84%)を占めていた. 不整血管は腫瘍露出面においてのみ観察されることから,腫瘍血管であり.PTCSにおける重要な悪性所見のひとつであると思われる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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