抄録
経皮経肝胆道鏡検査(PTCS)において拡張・蛇行した血管(不整血管)は癌の浸潤をうけた胆管粘膜に高率かつ特徴的に認められる.この現象を解明する目的で,35例の切除標本内の胆管粘膜を実体顕微鏡下に観察した.35例の内訳は,良性疾患および胆管浸潤のない悪性腫瘍(A群13例),胆管癌(B群14例),胆管浸潤を伴う膵癌・胆嚢癌(C群8例)である.不整血管はA群では認めず,B群13例(93%)とC群6例(75%)の19例の腫瘍露出面で認めた.不整血管の直径は太いもので50~200μであった.不整血管の分布は,全体型,辺縁型,中心型の3型に分けられ,PTCSで容易に不整血管を認識できる全体型と辺縁型は16例(84%)を占めていた. 不整血管は腫瘍露出面においてのみ観察されることから,腫瘍血管であり.PTCSにおける重要な悪性所見のひとつであると思われる.