日本消化器内視鏡学会雑誌
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エトキシスクレロール局注にて止血しえた十二指腸憩室出血の1例
伊藤 昌幸渡辺 茂佐藤 浩明天田 康村田 和恵迎 愼二庄司 功大山 誠也塩谷 敏夫入澤 篤志坂 充佐藤 由紀夫小原 勝敏西間木 友衛
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1998 年 40 巻 11 号 p. 2004-2009

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抄録

症例は43歳の玄性,吐下血のため当院救急外来に搬送された.来院時,出血性ショック状態であり加療目的に入院した.緊急上部消化管内視鏡検査を施行したが出血源を確認できなかった.その後も吐下血が続くため,腹部CT・腹部血管造影・出血シンチグラム等を施行するも出血源は指摘できなかった.再度,上部消化管内視鏡検査を施行し十二指腸水平部の憩室内にびらんを認めた.明らかな出血は認められなかったが同部が出血源である可能性が高いと判断して,内視鏡下にクリッピングを施行した.しかし4日後に再出血したため同部位とその周囲にエトキシスクレロール(Aethoxysklerol:AS)を計10m1局注し止血し得た.その後,局注部位は瘢痕化し再発は認められない.十二指腸憩室出血は本邦では現在まで自験例も含め42例の報告がある.そのうち内視鏡的治療例は9例あるが,ASによる治療の報告はない.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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