日本消化器内視鏡学会雑誌
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急性出血性直腸潰瘍18例における臨床的および内視鏡的検討
浪崎 正辻本 達寛鶴薗 卓也飯岡 弘伊豊川 泰勲上野 貴久美松村 吉庸今津 博雄山崎 正晴吉治 仁志福井 博
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2003 年 45 巻 8 号 p. 1225-1231

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抄録

1998年1月から2000年12月までの3年間に当院で経験した急性出血性直腸潰瘍18例(計23個)における臨床像と内視鏡像およびその治療法について検討した.年齢は48歳から98歳(平均74.8歳),男女比は8;10で,基礎疾患は整形外科疾患が33.3%と多く認められた.発症要因として長時間の仰臥位,便秘,坐薬の3因子について検討したところ複数要因で発症している症例が多かった.内視鏡所見では急性出血性直腸潰瘍は露出血管を伴うことが87.0%と多く歯状線より4cmまでの下部直腸に全症例の82.6%(19/23)が認められた.潰瘍の形態は47.8%が類円型であり,特に整形外科疾患では71.4%が類円型であった.治療には,主にクリップ法およびエタノールや高張ナトリウムエピネフリン液(hypersaline epinephrine以下HSE)による局注法を用いた.歯状線より4cmまでの急性出da性直腸潰瘍に対してクリップ法は手技が難しく局注法を選択すべきと考えた.

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