園芸学研究
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非病原性Ralstonia solanacearumによるナス青枯病発病抑制効果
小川 晃一郎森 太郎松崎 弘美松添 直隆
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2011 年 10 巻 4 号 p. 581-587

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抄録

植物病原細菌Ralstonia solanacearumは植物,土壌および培地中で非病原性株(PC株)に変異する.本研究では,PC株(E-PCstr)の接種によるナス青枯病の発病抑制効果を調査した.さらに,罹病性ナス12品種を供試し,PC株の接種による青枯病発病抑制効果の品種間差異を調査した.罹病性ナスに20 mLのE-PCstr(106 cfu(colony forming units)・mL1の生菌,108 cfu・mL1の生菌または108 cfu・mL1の死菌)を接種し,7日後に,107 cfu・mL1の病原性株8238rif(野生株8238のリファンピシン自然耐性株)20 mLを接種した.E-PCstrの死菌および生菌106 cfu・mL1を接種した個体では,発病抑制効果はなかった.一方,高濃度のE-PCstrの生菌108 cfu・mL1を接種した個体では,発病抑制効果が認められた.発病が抑制された個体では,E-PCstrの確実な定着が認められ,8238rifの垂直方向への移行抑制があった.E-PCstrの接種による発病抑制効果は,供試品種の中で比較的に青枯病抵抗性が弱い品種では防除効果が低く,比較的に強い品種では防除効果が高くなる傾向にあり,PC株の発病抑制効果に品種間差異が認められた.

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© 2011 園芸学会
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