園芸学研究
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発育制御
環状剥皮がイチジクの凍害に及ぼす影響
真野 隆司杉浦 俊彦森口 卓哉黒田 治之
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2011 年 10 巻 4 号 p. 573-579

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抄録
イチジク‘桝井ドーフィン’に対する環状剥皮が凍害の発生に及ぼす影響を検討した.露地圃場の挿し木個体は萌芽期の凍害を受けたが,前年の秋季に環状剥皮処理を行った挿し穂を用いると,萌芽が遅くなり凍害が軽減された.また,ポットの挿し木個体について,萌芽期に低温処理を行った結果,−3℃以下で枯死する芽が発生した.しかし,前年の秋季に環状剥皮を施し,かつ,より下位節から採取した挿し穂の方が糖やデンプン含量が高く,遅く萌芽して芽の枯死が少なかった.さらに,露地圃場に定植した幼木についても,秋季に環状剥皮を行った枝の糖とデンプン含量が高く,厳寒期の凍害が少なかった.以上より,イチジク‘桝井ドーフィン’に対する環状剥皮処理は,休眠枝の貯蔵養分を高め,その生育ステージが遅延することによって,萌芽期や厳寒期の凍害を軽減する効果があると考えられた.
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© 2011 園芸学会
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