日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
孤立性結節性膵癌肺転移の一切除例
島田 順一伊藤 和弘西村 元宏柳田 正志寺内 邦彦下村 雅律石井 亘長田 寛之西山 勝彦
著者情報
キーワード: 膵癌, 肺転移
ジャーナル フリー

2005 年 19 巻 4 号 p. 581-584

詳細
抄録

膵癌の孤立性肺転移の報告は稀である. 今回, 孤立性肺転移をきたしたStage IVb症例に対して外科的治療を行ったので報告する. 症例は76歳の女性で, 5年前に膵癌に対して膵頭十二指腸切除術を施行され外来経過観察中であった. 入院時胸部X線写真では, 左下肺野に孤立性肺腫瘤陰影を認めた. 胸部CTでは, 大動脈に接して左S10に直径2.3cmの孤立性肺腫瘤を認めた. CTガイド下経皮的肺針生検で, 腺癌と診断された. 原発性肺癌との鑑別がつかず, 左下葉切除術, 縦隔リンパ節郭清を行なった. HE染色で, 腺管構造の腺上皮細胞が円柱状で背が高く, 双方の細胞形態が酷似していたこと, 免疫組織化学染色の相同性から, 肺腫瘍は膵癌の孤立性肺転移と診断した. 膵癌術後に肺転移が出現した場合には, 外科的治療の可能性もあることを念頭に置き全身検索を行う必要があり, 孤立性の場合には積極的に手術を検討すべきである.

著者関連情報
© 2005 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top