日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
G-CSFおよびIL-6産生肺癌の一切除例
野津田 泰嗣星川 康桜田 晃野田 雅史岡田 克典近藤 丘
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2010 年 24 巻 5 号 p. 859-863

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抄録

症例は42歳,男性.2ヵ月つづく38℃台の発熱を主訴に前医を受診した.白血球数2万台.胸部CTでは右上葉に縦隔胸膜に接する径6cmの腫瘤影を認めた.右肺膿瘍として1ヵ月間抗菌治療を受けたが軽快せず当科に紹介された.血中G-CSF,IL-6高値であり,G-CSF産生肺癌疑いとして右肺上葉切除術を施行した.迅速病理診断で低分化腺癌.ND2b追加.上縦隔胸膜浸潤を認め,pT3N0M0,stage IIBであった.術後すぐに解熱し,白血球数,G-CSF,IL-6も正常値に復した.免疫組織染色上,肺癌組織はG-CSF陽性であった.G-CSF産生肺癌は一般に予後不良とされる.今後慎重な経過観察を要する.

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