2000 年 14 巻 6 号 p. 743-749
肺リンパ脈管筋腫症により重度呼吸不全を呈した肺移植適応例に対し, 9週間にわたり運動療法を施行した.運動内容は, 呼吸練習, 日常生活動作, 自転車エルゴメーターおよび歩行練習, 四肢筋力回復練習である.運動負荷の設定には通常の運動負荷プロトコールを用いることが困難だったため, 心拍数, 酸素飽和度をモニタリングしながら低負荷で徐々に負荷量を増加して決定した.運動療法前には数メートルの歩行しか出来ない状態であったが, 9週間後の運動内容は, 自転車エルゴメーターは, 5Wの負荷で10分, 歩行は18m/分の速度で10~15分に達した.これらの結果, 日常生活動作能力の改善, 運動耐用能の改善が得られ, 6分間歩行距離は27mから141mに変化し, 運動療法の有効性が示唆された.しかし, これらのプログラムは, 患者の病状変化にあわせて, 再評価と修正が適宜必要であると思われた.